志摩半島の南端、英虞湾の入り江に面した伊勢志摩国立公園内にヴィラ4棟のスモールラグジュアリーリゾート「COVA KAKUDA(コーバ カクダ)」が6月に開業しました。
未来の里海を作るためのリトリート
かつて真珠養殖の地として名を馳せた英虞湾。2016年にはG7が開催され、国内2軒目のアマンリゾート「アマネム」が開業するなど、豊かな自然に囲まれた新たな旅先として国内外より注目を集めてきました。英虞湾は冬でも暖かく、年間を通じて穏やかな気候と穏やかな海が広がる隠れ家的なリゾート地です。
英虞湾は、自然と人が共生してきた「里海」が残る場所。里海とは古くから水産・流通をはじめ、文化と産業を支えてきた日本の海域のことで、人の手が加わることにより生物の生産性と多様性が高くなった沿岸地域のことを言います。里海は、その豊かで多様な生態系と自然環境を保全することで、我々に多くの恵みを与えてくれます。この貴重な英虞湾の自然の恵みを次世代へと継承していくため、環境と調和し、心の栄養を摂取できるリトリートとして「COVA KAKUDA」は開業しました。またゲストと地元・志摩の人々や文化が出会うことで、地域活性を図り、里海を保全し文化を継承することを目指しています。
昔からそこにある景色や建物を活かし、心と身体を優しく包む空間に
「COVA KAKUDA」は、かつて真珠養殖場や加工場として使われてきた建物をリノベーションして完成した宿泊施設です。天井の木製梁などはそのまま活かし、新築ヴィラと組み合わせて、メリハリのある温かな空間に仕上がっています。ちなみにこの工場は、地元の人から“コーバ(工場)”と呼ばれていたことから、「COVA KAKUDA」の名の由来となったそう。また「COVA KAKUDA」のある4万平方メートルの土地は、1931年創業の老舗真珠会社である覚田真珠が所有する敷地で「KAKUDA」という名は、覚田真珠に由来します。
客室は全室入り江を望むプライベートヴィラで、自然素材がもつ美しさや荒々しさ、温かみや安心感などを活かしたつくりに。客室からは英虞湾の穏やかな海を目の前に望むことができ、その浮遊感はまるでボートハウスのよう。木で組まれたいかだや、網やかごなど、海の雰囲気を醸すディテールを設えることで、英虞湾の文化や風土を知るきっかけになることを目指した空間になっています。ヴィラ「HAMAAGE」は、「アコヤ貝」から真珠を取り出すことを“浜揚げ”と呼ぶことから命名され、実際この建物は、真珠の収穫の際に使われていたそう。海に最も近いヴィラで、ウッドデッキが海にせり出しており、客室からそのまま海に飛び込むこともできます。またプライベートサウナと水風呂も備え、アクティブ派もゆったり派も満足できる客室となっています。
リノベーションした「OKI」と新築の「TAKA」はシンメトリーに配置されており、新旧のそれぞれの美しさが際立ちます。漆喰の壁とスケルトン天井から見える梁の組み合わせが、日常からの解放を促し肩の力が抜けていく感覚を味わうことができるでしょう。
伊勢志摩の豊かな食材をシンプルに
ダイニング「KAZO」では伊勢志摩の食材をふんだんにつかったジャンルにとらわれない食事がいただけます。地元の名産である伊勢海老をはじめ、ヒオウギ貝、アコヤ貝、あおさのり、松阪牛などを、志摩出身の料理人、松本守が“身体と心が心地よくなるような”料理に丁寧に仕上げます。松本シェフは、地元食材に精通しており、地元の漁師や海女、農家と業者としてではなく、一個人として親交を深め強い繋がりをもつところから、丁寧に取り組んでおり、その季節に最適な食材を手にすることができるといいます。朝食にも地元食材がふんだんに用いられ、伊勢志摩の文化を食から知ることができるメニューとなっています。
カルチャー体験や身体を使ったアクティビティが楽しめる
「MIHARASHI」と「HAMAAGE」はロウリュウを楽しめるサウナを備えていますが、「COVA KAKUDA」にはすべてのゲストが楽しめるサウナも備えています。ここで使われている薪はウバメガシという木。「COVA KAKUDA」周辺の森に群生しており、広葉樹のなかでも特に長時間高温で燃え続けることから、備長炭の原料にもなるほどで、薪サウナには最も適した木材と言われています。「COVA KAKUDA」では、森から間伐したウバメガシを薪割りし、2年間乾燥させたものをサウナストーブに使っており、身体の芯まで温まるサウナ体験が可能です。
そのほか、季節に応じて様々なアクティビティも用意されています。伊勢志摩ならではの、真珠の核入れ体験や、英虞湾へのサンセット、サンライズクルーズ、星空鑑賞クルーズ、プライベートビーチへの訪問のほか、生牡蠣&伊勢海老の水揚げ体験や、海釣り、シュノーケリングやカヤックなどもラインナップ。ゲストが一緒に楽しむことができる真珠養殖や浜揚げの観光施設を復活させ、地域住民と観光客が交流することができるワークショップの開催も予定しているんだとか。
代表の覚田氏は、「この地は昭和初期より真珠養殖場・加工場として歴史を育んできました。当時はこの地で 100 人以上の従業員が仕事をし、工場のことをコーバと呼んでいました。その当時の記憶を引き継ぐ場として 「COVA KAKUDA」と命名しました。SDGs が提唱されるずっと前から、連綿と続いてきた里海の持続 可能なサイクルを、大人のリゾートの場として取り戻していきたいと思います。そして当地へお越しに なる国内外のゲストには、他所とは違う、日本の美を感じる空気感として昇華されるような、新しい形 のリトリート・ステイを堪能していただきたいと願っております。」と語ります。
英虞湾の豊かな自然を目や耳、舌など五感をフルに使って取り入れることで、英気を養い癒やされるリゾート「COVA KAKUDA」。この夏の旅の候補地にぜひチェックしてみてください。
「COVA KAKUDA」
住所:三重県志摩市志摩町片田1397-14
電話:0599-52-0231
https://cova-iseshima.jp/