石川県の里山の魅力をフレンチで表現。「オーベルジュ オーフ」が注目される理由。

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食材の可能性を求めて。持続可能なレストランを作るため。都会を離れ、地方を目指すシェフたちが増えている。車で小松空港から約30分、金沢駅からも約1時間ほどの地に昨夏オープンした「オーベルジュ オーフ」もそんな一軒だ。

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アスパラガスなどの野菜に混じって、つくしなどの野草も風味を添える「ガーデン 〜春〜」。

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中央が糸井章太氏。スタッフには神戸「メゾン・ド・タカ 芦屋」時代の同僚も多い。小松市は「石の文化」がある土地として日本遺産にも登録されている。近くには石切り場があり、当地で産する石は「日華石」の名で国会議事堂をはじめとする各地の名建築に利用されている。

シェフを務めるのは日本最大級の料理コンペでグランプリを獲得したの糸井章太氏

シェフを務めるのは糸井章太氏。2018年、日本最大級の料理コンペティション「RED U-35 2018」史上最年少の26歳でグランプリを受賞して以降、注目されているシェフだ。京都で生まれ、アルザス「オーベルジュ・ド・リル」、カリフォルニア「マンレサ」「フレンチランドリー」などの3ツ星レストランでも研修した経験をもち、日本では神戸「メゾン・ド・タカ 芦屋」で研鑽を積んできた。そんな糸井氏が、なんの縁もゆかりもない石川県小松市観音下(かながそ)の地で初めてシェフとしてキッチンに立つ。このあたりは湧き水や渓流が多く、豊かな水資源に恵まれている。隣には「酒造りの神様」の異名をもつ農口尚彦氏が杜氏を務める「農口尚彦研究所」もある。

「まず、水がいいんです。山が近いので春は山菜、秋はきのこが採れますし、近隣は農家がたくさんありますから、季節ごとの野菜やフルーツには事欠きません。それに港で揚がる魚も種類が豊富。食材に恵まれているので、ここで料理を作るのが楽しくて仕方ありません。」

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ダイニング 28席 個室10席(1室)。館内のあちこちに、パリを拠点に活躍する現代芸術家 小川貴一郎氏がこの地の滝や神社など、観音下のエネルギーに触発されて制作した作品が展示される。

風光明媚な原風景の廃校を新生しオーベルジュ オーフに

その舞台となるのは、なんと旧小学校舎をコンバージョンしたもの。この地も時代の流れに逆らえず、過疎化が進み、半世紀にわたって地域の子どもの学び舎であった旧西尾小学校が平成30年に廃校に。だが、このエリアは風光明媚で日本遺産に指定された石切り場やスキー場などの地域資源もある。そこで2022年7月、地域活性化を目的に「オーベルジュ オーフ」がオープンした。その名の通り、レストラン利用に加えて宿泊も可能。また、自家製のドリンクや軽食、スイーツをイートインとテイクアウトで提供するカフェも併設するほか、地元の学生や企業も使用できるレンタルスペース、周辺エリアの情報発信も行い、アートギャラリーとしての顔ももつ。地域と外部の人々を結ぶ拠点として、生まれ変わったのだ。そのような背景のなか、ガストロノミーな料理に取り組む意義は大きい。

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雪国だからこそ、春の訪れがいっそう、待ち遠しい。「小松市・東山産のタケノコとキジハタのロースト」にはそんな喜びが詰まっている。

糸井氏の料理を求めて、日本各地からフーディーズがこの地を訪れるようになったのだ。レストランが話題になると同時に、小松市観音下町もおのずとクローズアップされる。過疎化という深刻な問題を抱える地域にとって、それは大きな希望となる。石川県というと金沢市が圧倒的なブランド力を誇るが、小松市には小松市の魅力があることを知ってもらえるからだ。春先、小松市・東山で採れたみずみずしいタケノコを、皮をパリッと焼き上げたキジハタと合わせた一品を口にすれば、この土地がいかにエネルギーに溢れているかがわかるだろう。

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「蛍米 香箱蟹 加能蟹」。石川県で水揚げされたズワイガニのオスを加能蟹、メスを香箱蟹と称する。香箱蟹の漁期は11月から12月末まで。

カニ漁が解禁される11月上旬からの限られた期間には蟹も登場する。小松市のブランド米「蛍米」を用いたリゾットは加能蟹、香箱蟹の身や内子、外子まで余すところなく使った贅沢な一品。濃厚な味わいは日本酒とも好相性。

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スイートルームは2名1室利用2食付きで1名78,100円〜(税込・サ別)。各部屋に現代芸術家、小川貴一郎氏がこの地で書き上げた作品が飾られた空間はシックで居心地がいい。

豊かな自然とオーベルジュならではの食に癒される

昼夜ともにレストランだけの利用も可能だが、宿泊もできる。朝、目覚めたら山を臨み、田畑が広がる一帯を散歩するのもいいだろう。遠くに響く鳥の声、澄んだ空気に癒されるはずだ。

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朝食は「発酵」をテーマにした和定食。石川県を代表する伝統工芸である九谷焼の器が目を楽しませてくれる。

お楽しみの朝食はオーベルジュ一帯の圃場でも育てられている炊き立ての「蛍米」が供される。「発酵」をテーマにした朝食だけあり、麹で漬けた焼き魚や自家製の糠漬けなどが登場する。

金沢旅行でもう一泊、という際の新たな選択肢として。もちろん、ここだけでも十分満足できるデスティネーションとしてオーベルジュ オーフが誕生したのだ。

オーベルジュ オーフ
石川県小松市観音下町ロ48
TEL0761-41-7080
レストラン:17:30〜20:00(土日祝のみランチ営業あり、12:00〜13:00LO)
火・水曜休(祝日の場合は営業)
https://eaufeu.jp
料理はコースのみ、昼夜ともに19,800円。ワインはグラス1,760 円〜、ペアリング11,100円〜。宿泊は2名1室利用2食付きで1名34,100円〜(以上、税込・サービス料別)。

 

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