グラフィカルでカラフルな3種類のレディス限定モデルが登場

新作の最新情報

リシャール・ミルの伝統を昇華させたグラフィカルでカラフルな3種類のレディス限定モデルが発表されました。
今回の新作モデルは、時計専門誌やラグジュアリーな女性ファッション誌など幅広いメディアに執筆している時計・宝飾ジャーナリスト・野上亜紀さんと、リシャール・ミルのアフターサービスを担当する時計技術者・竹中茂喜さんに、解説していただきました。


女性用モデルの選択基準の一つとして欠かせないのが、豊かな“色”の世界だ。エナメルやカラーストーン遣い、地金を彩色したMOPなどが見せる色と輝きの文字盤にはじまり、昨今ではインターチェンジャブルストラップなどの流行をもたらした色の着せ替えが、女性たちの心を捉え続ける。レディスモデルにおける色への訴求は、常なるテーマとして介在するものだといえることだろう。今回そんなニーズに応えるべく、リシャール・ミルから「RM 07-01 オートマティック カラーセラミックス」が登場した。リシャール・ミルのクリエイティブ&開発ディレクターを務めるセシル・ゲナ氏による最新作である。

レディスモデルに求められる色彩と“物語性”

ユニセックス向けに意匠を凝らしたトゥールビヨンモデルなどもあるが、“リシャール・ミルにおけるレディスモデル”を模索してきたセシル・ゲナ氏の歩みをたどるうえで、大きな一歩となったのが、2019年に発表された「リシャール・ミル ボンボン コレクション」だ。年頭に開催されたジュネーヴの展示場では、時計のF1とも謳われてきた従来のマッシブなリシャール・ミルのイメージから一転、どこまでも甘い装飾が繰り広げられ、来場者たちの驚きを誘っていた。当時展開されていたのはキャンディやカップケーキを描いた“スイーツ”とキウイやオレンジを模した“フルーツ”の二種。
いずれもグランフーエナメルやシャンルヴェなどの技法、一つに45分以上をかけてハンドペインティングで製作される小さなパーツ、本物の砂と粉砕したエナメルを交えることで粉砂糖の質感を表現した意匠などの職人技が、色彩豊かな夢の世界を構築した。
ちなみにこのボンボンコレクションにおいては、既にカラーセラミックスとしてホワイト×ラベンダーピンクやダークブルー×スカイブルーが採用されている。
▲左「RM 07-03 オートマティック マシュマロ」、右「RM 07-03 オートマティック カップケーキ」生産終了

いわば時計そのものが一つのアートとして存在するかのように、ピースの一つ一つに異なる意匠をもたらし、“物語性”を踏襲するコレクションの構築方法は、もしかしたらハイジュエリーの製作スタイルに近いものなのかもしれない。セシル・ゲナ氏はそもそも大学時代からジュエリーを専攻とし、一時期宝飾業界にも携わっていた人だ。そうした来歴を持つ彼女だからこそ、極めてアーティスティックなレディスモデルを可能としたのだろう。彼女の快進撃は以降も続き、さらに新しいテーマが導かれていく。それが昨年末に展開された、1970年代のエレクトロミュージックをテーマにした時計だ。こちらはトゥールビヨンムーブメント搭載の「RM 71-02」をベースに、ツァボライトやアメシスト、スピネル、ルビー、サファイアなどの色石を用いることで実にカラフルな世界を描き出した。
▲「RM 71-02 オートマティック トゥールビヨン タリスマン」生産終了

「RM 07-01」というキャンバス

上記のハイエンドモデルの一方で、女性たちによりデイリーな楽しみを与えてくれるのが、「RM 07-01」だ。ユーザーに応じて巻き上げ効率を調整できる可変慣性モーメントローターを用いたモデルは、腕の振りが弱い女性でもゼンマイが十分に巻き上がる。
このモデルをキャンバスに、今年は既にブレスレットにカーボンTPT®とレッドゴールドを用いたピースや同社がスポンサーを務める女性だけで構成された「リシャール・ミル レーシングチーム」をテーマにしたレッドクオーツTPT®の時計などの、実にバラエティ溢れるレディスモデルが展開されている。同じく「RM 07-01」をベースに、カーボンTPT®に下穴を作り、ゴールドの爪で石を留める「ミトライヤージュ」のダイヤモンドセッティングは、石を留める爪の数をそれぞれに変えてより瞬く印象を与えた“スターリーセッティング”として発展。一方で大小異なる極小のダイヤモンドをケースサイドにまでランダムに敷き詰めた“スノーセッティング”を初めて採用するなど、女性に向けたダイヤモンドモデルの充実も見逃せない。かつこれらの時計には、“星空”や“雪景色”を想起させる幻想的な解釈が添えられていることも加えておこう。

女性のためのマテリアルの追求、その結晶となるカラーセラミックス

そのような美しいイメージを巧みな技術力をもって表現してきた中で、満を持して登場することになったのが、この「RM 07-01 カラーセラミックス」である。その主役はケースを彩るカラーセラミックスだ。先述したように、レディスモデルにおいてはこれまでもホワイトやブルーなどのセラミックスは展開されてきたが、今回特筆すべき点は、このやさしげな表情を湛える“パステル”カラーであろう。
セラミックスに関してはこれまでレッドやイエローなどの鮮やかな色の発色が難しいと言われてきたが、このパステル系はさらに不安定なものとされてきた。高温で焼成した際に黒ずみが出てしまうことも多く、多色を用いて色を混ぜるこの中間色は、ロットごとに色が異なってしまう恐れがあり、均一した色を出す事が非常に難しい。これらの心が弾むような、軽やかな色彩の陰には、パステルカラーのセラミックスへと挑んできたリシャール・ミルの妥協なき探求心をも窺えることであろう。

パステルピンクとパステルブルー、そしてパステルラベンダーの3色のケースに加えてもう一つ、リシャール・ミルのアーティスティックな感性を注ぎ込んだのが、文字盤である。
今回セシル・ゲナがテーマとしたのは“アール・デコ”。
「マイアミにあるアール・デコ建築にインスピレーションを受けました。パステルカラーと大胆なパターンは、とても個性的で、素晴らしく溌剌としたデザインなのです」
と、ゲナ氏は語る。
同社初のギヨシェ彫りを囲むようにして、セラミックとラバーの幾何学的なパーツを組み合わせることで、実にグラフィカルな世界が完成した。先の「リシャール・ミル ボンボン コレクション」にも通ずるが、リシャール・ミルの時計において実に巧みであり、それらをアートとも呼ばせるのが、文字盤を含めた全体の“奥行き感”である。


今回はペイントエナメルではなく、カラーラバーを用いることで立体的な意匠を凝らしながらも、時計としての耐久性も確保された。美しくあること、そしてテクニカルであることは、リシャール・ミルにおいては常に同義語である。複雑機構を日々使う時計に、という考えのもと、新しい発想を生み出し続け、技術の発展と共に規格の基準までをも変えてきた同社の指針は、レディスモデルにおいても踏襲されていることだろう。まさに“アート”と呼びたい独自の審美性を、最高峰の技術が裏付けている。

文/野上亜紀(のがみ・あき)
時計・宝飾ジャーナリスト。スイスのウォッチ&ジュエリーフェアの取材には毎年通い、専門誌や女性誌および男性誌、ライフスタイル誌などの編集&執筆に携わる。最近の掲載誌は「クロノス ファム」「クロノス日本版」「25ans」「リシェス」「エスクァィア」「家庭画報」「HODINKEE」など。今年から「ウオッチナビ」で女性用腕時計の連載をスタート。

リシャール・ミル アフターサービス 時計技術者がみるココに注目!

今回発表したレディスの新作「RM 07-01 オートマティック カラーセラミックス」は、カラフルな色合いが美しい3つのモデルですが、このモデルでリシャール・ミルは初めて文字盤中央にギヨシェを採用しました。

現在の技術力であれば、コンピュータ制御の切削機械で同じような作業は出来ると思いますが、リシャール・ミルでは伝統的な工作機械とそれを熟知し扱える職人が1つ1つ手作業で作り上げています。
いくつも同じものを製作するためには、バイト(刃)の調整にも技術や経験が必要です。

上記の動画内にダイヤルゲージで切削する素材を取り付けた治具の厚さを計測するシーンがありましたが、厚さがほんのちょっと違うとバイトの当たり方が変化し、それにより切削する深さが変化することにより、表面に現れる線の太さに違いが出るので、大変重要な調整です。力の入れ方、ハンドルを回す速さ、止めるタイミング、バイトを離すタイミングなど熟練の技が必要なのではないかと感じています。熟練の職人により創り出されるアートなのです。

このように熟練の職人が製作したギヨシェの周りには、ストラップと同色のラバーやベゼルと同色のセラミックスを採用しており、カラフルながら一体感のある仕上がりとなっています。ラバー素材の水玉やストライプの模様の凹凸を得るためには金型も必要となります。

文・竹中茂喜(たけなか・しげき)
時計修理技能士1級を持つリシャールミルジャパン テクニカルマイスター。年に数回スイス、レ・ブルルーにある工房でトレーニングを受けリシャール・ミルを熟知するひとり。

「RM 07-01 オートマティック カラーセラミックス」

自動巻き(自社開発キャリバーCRMA2)、パステルブルーTZPセラミックス×チタンケース、ケースサイズ:31.40×45.23×11.85mm、50m防水、ラバーストラップ、50本限定、¥20,020,000(税込)

自動巻き(自社開発キャリバーCRMA2)、パステルラベンダーTZPセラミックス×チタンケース、ケースサイズ:31.40×45.23×11.85mm、50m防水、ラバーストラップ、50本限定、¥20,020,000(税込)

自動巻き(自社開発キャリバーCRMA2)、パステルピンクTZPセラミックス×チタンケース、ケースサイズ:31.40×45.23×11.85mm、50m防水、ラバーストラップ、50本限定、¥20,020,000(税込)

問い合わせ先:リシャールミルジャパン
TEL.03-5511-1555
https://www.richardmille.com/ja

関連記事

  1. リシャールミルジャパン基金が「チャリティオークション2020」開催。

  2. chaumet

    メゾンショーメを象徴するコレクション「リアン」 待望の新作ハイジュエリーが登場

  3. 女性のトリオ、リシャール・ミル レーシングチームの華麗なる活躍

  4. 真っ白なリシャール・ミルの新作「RM 037 オートマティック」発表

  5. リシャール・ミルの新作は、甘く懐かしい時間に誘うタイムマシン?

  6. リシャール・ミルがまったく新しい新作「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノ…

  7. リシャール・ミルがフェラーリとの数年間にわたるパートナーシップを発表!

  8. 特別連載 リシャール・ミル 銀座 × スノーボードアルペン竹内智香

  9. 煌びやかな宝石を纏ったお守りウォッチがリシャール・ミルから発売

人気記事 PICK UP!

HOT TOPICS

おすすめ記事

  1. リシャール・ミル ファミリー インビテーショナル チャリティマッチ開催
  2. zenbo 座禅リトリート「禅房 靖寧」で体験するマインドフルネスな旅
  3. 至高の時間を堪能する 「フォーシーズンズホテル東京大手町」19時間の贅
  4. アートの島に露天風呂付きの 「直島旅館ろ霞」が開業
  5. steinway 自宅で巨匠たちの生演奏を聴く ― 究極のハイレゾ自動演奏機能付きピアノSPIRI…
  6. 伊勢丹新宿店本館5階=ウォッチにラグジュアリーを極めたカフェが誕生。 後篇
  7. shinjiohmaki 壮大なスケールでのインスタレーションを体験する―「大巻伸嗣 Interface …
  8. 今年こそ「アンダーズ東京」で優雅なお花見体験を
  9. H.モーザー2021年最初の新作は、眼と耳で楽しむハイコンプリケーション
  10. moksa 京都・八瀬にある生まれ変わりをテーマにした宿「moksa」
PAGE TOP