自然と人がつながる新しいコンセプトのアートな宿「SHIGUCHI」

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夏はハイキングやゴルフ、冬はスキーと一年を通して、観光客を惹きつける北海道ニセコ。決して交通の便が良いわけではないこの地に、外国人をはじめ多くの人が集まるのは、その唯一無二の自然が織りなす風景と空気ゆえだろう。そんなニセコに新たな宿が開業した。「SHIGUCHI」と名付けられたその宿は、宿泊施設ではあるが、従来の旅館ともホテルとも趣を異にするユニークなデスティネーションだ。

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ジョイント=つながることをコンセプトに

まず気になるのは「SHIGUCHI」という宿の名前。実は、これは「仕口」という昔から使われている大工の技から名付けられている。仕口とは、桁と梁や、土台と柱などをつなぐ時に使われる手法で、釘などを使わないため美しい仕上がりかつ堅牢で、日本に古くから伝わる伝統的な匠の技だ。「SHIGUCHI」はそんな仕口のように、自然と人、文化が機械を介してではなく有機的につながることで、自身を見つめ直し自分の本質を取り戻すことを目的とした宿なのだ。

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「SHIGUCHI」を手掛けたのはショウヤ・グリッグ。美術写真家でアートコレクターであり、予約困難な旅館「坐忘林」の共同創設者兼共同オーナーでもあります。ショウヤ・グリッグは、自身の人生をショウヤ・グリッグ トリロジーと称し、第一章を「坐忘林」、第二章にあたるのが「SHIGUCHI」なのだそう。「坐忘林」は座して忘却する、我を忘れる空間として誕生したが、「SHIGUCHI」はその先へ進み、自分にとっての大切なものとの関わりを見つけ、未来を見据えて自分にできることは何かを問う、そんな体験を提供する。

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ギャラリーステイという新しい旅のスタイル

手つかずの自然が残る5万坪の敷地に建ち並ぶ4棟の古民家。1棟がレストランとギャラリーの「そもざ」で3棟が客室だ。客室は全部で5つあり、全ての客室に源泉かけ流しの露天風呂を備えている。この古民家は元々会津にあったものを熟練の職人が解体し、大きな開口部を設けるなどして再構築したもの。経年変化した柱や梁がニセコという新たな場所で息を吹き返し、長年の月日を経ることで浮き出た味わいが、この宿を訪れるものに安らぎを与えてくれる。

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5つある客室はそれぞれレイアウトや広さが異なります。キッチンを備える部屋もあるのでぜひ数日滞在して、深い静寂に身を包みたい。2ベッドルーム(144㎡)または3ベッドルーム(351㎡)の3タイプで、メゾネットタイプや地階があるものや、最大8人までの宿泊に対応する部屋もあります。石をくりぬいたアート作品のような浴槽や、自然の香りに癒やされる檜の浴槽で、加水・加温なしの源泉かけ流しの温泉を滞在中いつでも堪能できる。

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まるでこの古民家そのものがアート作品のような空間だが、客室内にはショウヤ・グリッグ氏のセレクトによる工芸品や絵画、さらにショウヤ・グリッグ氏の作品やアートブックなどがキュレーションされています。美術館やギャラリーで作品を観るのとは異なり、実際にアート作品が飾られた空間で過ごす数日は、アートに対する新たな見え方や気づきを与えてくれることでしょう。

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ヴィラ棟の地下にあるギャラリーでは、ショウヤ・グリッグ氏の作品を観ることができます。自身が撮影した写真作品がキャンバスになり、ペンやパステルでリタッチする画法で描きあげた、まるで日本画のような印象のモノクロームの風景画からは、ショウヤ氏がニセコの大地とつながっていることを感じることができる。隣接する「そもざ」の地下にはギャラリーがあり、ショウヤ氏が集めた北海道にまつわる芸術品が展示されている。縄文時代の土器や装飾品、アイヌの芸術作品、北海道各地の画家や彫刻家による作品の数々は、さながら北海道の歴史を凝縮した博物館のよう。研ぎ澄まされた空間のなかで、北海道の歴史や自然、芸術に触れることで、何かを感じ、見つけるきっかけになるでしょう。「またそもざ」1階のサロンでは、国内作家の作品やオリジナル製品を購入することも可能です。

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食を通じて文化や土壌とつながる体験を

レストランは「そもざ」の中にあります。12席の大きなテーブルと屋外のテラス席があり、アートと自然を楽しみながら食事をすることができる。腕を振るうのは小関達弥シェフ。パリのLes Enfants Rougesなどで修行した後、 ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパにあったミシェル・ブラス トーヤ ジャポンに勤務した経験をもち、自生する野山の植物や、自家菜園で育った新鮮な食材を使い、アイヌや縄文の食生活や環境に敬意を払った独創的な料理を提供する。また、食事とともに供されるのは、稀少な道産ワインやクラフトビール、ウィスキーなど北海道の自然が育んだアルコール類。ソムリエの佐々木氏が手掛けるSHIGUCHIの湧き水を使ったカクテルやモクテルは、料理に寄り添い、この地でしか味わえない特別なひと時を演出してくれる。

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自分の本質を問うディープな旅へ

従来の宿とは異なるコンセプトの「SHIGUCHI」。ギャラリーステイという考えのもと、自然や土地の物、人、時代や空間、音や色、味、匂いなどを通じて、自分が本当に大切にしたいものを見つけるきっかけになる体験ができる宿だ。12月になれば、ニセコはすっぽりと雪に包まれ、動物たちも息を潜め静寂に包まれます。夏の鮮やかな魅力とはまた異なる静謐な土地で過ごす時間は、自分という存在を超えた自然との対話を余儀なくされるでしょう。スキーリゾートでは味わえないニセコや北海道、日本の魅力の深淵に触れる体験を「SHIGUCHI」でぜひ。

SHIGUCHI

「SHIGUCHI」
住所: 北海道虻田郡倶知安町花園78-5
TEL:0136-55-5235
価格/1室1泊(2食付)70,400円〜
WWW.SHIGUCHI.COM

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