隠岐の海と山からエナジーチャージできる宿「Entô」

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島根県松江市の北方約50kmに位置する隠岐諸島。手つかずの自然が残り、歴史にも名を残す土地に「Entô(エントウ)」というホテルが2021年に誕生しました。「“ないもの”はなくていい。大切なモノゴトはすべてここにある。」という海士町のコンセプトを体現するミニマルでありながら豊かな体験のできる宿を紹介します。

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遠いこと、ないことを愉しむ宿

隠岐諸島と呼ばれるこの地は、3つの島(知夫里島、中ノ島、西ノ島)からなる島前と、島後島からなる群島。「Entô」があるのは島前の中ノ島で、島の玄関口である菱浦港から歩いて3分。カルデラの内海に面し、穏やかな海と林に囲まれた静かな場所に位置します。「Entô」は漢字では「遠島」と書き、「遥か彼方、遠く離れた島」という意味とともに「島流し」という意味ももちます。隠岐は古くから遠流の地として知られ、離島でありながら豊かな湧き水に恵まれた土地で、生活に危険を覚える場所ではなかったことから、後鳥羽上皇や後醍醐天皇など、高貴な身分の人々が流されました。後鳥羽上皇は19年間を隠岐で過ごし、島民とも交流をしたといいます。島には後鳥羽上皇を祀る隠岐神社があり、島民たちからは「ごとばんさん」と呼ばれ今でも親しまれています。

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「Entô」は、1971年開業の国民宿舎「緑水園」が原点で、1994年に増築し、「マリンポートホテル海士」と改名しました。そして今回、本館の一部をリノベーションし、新棟を建設。2021年に「Entô」として生まれ変わりました。「Entô」が属する島前は、約600万年前の火山活動により形成されたカルデラ地形で、客室からは地球が創り出した絶景を望むことができます。島前の3島は、内海を囲むように並んでいますが、それらは火山の外輪山の一部で、その陥没した部分に海水が入り込み、穏やかなカルデラの内海となっているのです。

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隠岐諸島は「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」として、ユネスコ世界ジオパークに認定されており、「Entô」は島前エリアの大地の成り立ちや動植物の生態系、そこに暮らす人々の営みを学ぶ場としての役割ももった宿。隠岐の大自然に囲まれ、大きな開口部がある客室は地球にぽつんと浮かぶような感覚になることができる空間に。静かに海を眺めながら過ごせる室内と、島内をフィールドとしてアクティブに楽しめる機能を兼ね備え、隠岐の大地を探求できる場所となっています。

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自然を存分に感じるための横長の客室

客室は本館「BASE」の18室と、新棟「NEST」18室の計36室。新棟の「NEST」には、93.8㎡の広さを誇り最大4名まで泊まれるネスト スイートをはじめ、すべての部屋がオーシャンフロント。4タイプの客室には風が心地よいテラスとビューバスを備えます。新棟の客室は、木の優しい質感とたっぷりの光が降り注ぐ明るい雰囲気に。間口が広く横長で、大きな開口部を備えているので、外の風景を遮らないシームレスな空間になっています。カルデラの穏やかな海を進んでいく船を眺め、風の音に耳を済ませれば、日頃のストレスが一気に浄化されていくモードに。客室にテレビや時計はないので、ぜひスマホもオフにしてデジタルデトックスしてみてください。

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食やアクティビティなど、島を五感で感じられる

ディナーは、地産地消をテーマに伝統調味料を使ったローカルの魅力溢れる季節のコース料理。海士町は、暖流と寒流が交わる豊かな海と、噴火により生まれた大地が育んだ食材が豊富に揃います。隠岐牛や白イカ、岩牡蠣、崎みかんなど、隠岐ならではの食材や、島の生産者から仕入れた野菜、自分たちで育てたハーブなどを用い、食事をきっかけに島のことを知ってもらえるような料理を提供しています。料理のジャンルは設けず、その時期に採れる旬の食材をつかった一期一会のひと皿で、何度訪れても新しい食体験ができるでしょう。朝食は地元のおばあちゃんが作ってくれたような滋味深いおかずと、飛魚出汁をベースに、季節の野菜や海藻をふんだんに取り入れた汁物や海士町産のお米などを提供しています。

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ジオパークの拠点施設としての機能もある「Entô」。地球と隠岐の成り立ちや島の魅力を学ぶことができる展示室ジオルームや、恐竜の化石などが展示された空間で、ジオパークを一望できるジオラウンジ、島民と観光客が交流することのできるジオテラスなど、五感を使ってジオパークと繋がることができる空間となっています。そのほか、隠岐にある宿泊施設で唯一の温泉やライブラリー、海士町で作られたアイテムを販売するショップなども備えています。

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「Entô」には、島内を散策するプライベートツアーやプライベートクルージング、E-bikeでの散策など、ジオパークの魅力を存分に堪能できるアクティビティがラインナップします。特に半潜水型展望船「あまんぼう」での海中散歩はおすすめ。「あまんぼう」は水上と水中の両方の景色を楽しめる展望船で、日中だけではなくナイトクルーズも体験できます。夏から秋にかけては、水中にはたくさんの夜光虫が集まり、この時期だけにしか見られない特別な光景を目にすることができます。また、スタッフが島のことを紹介するEntô Walkは、予約不要で特別な事情がない限り毎日行われます。天気のいい夜はエントランス横で焚き火が行われ、炎を眺めながら悠久の大地に思いを巡らせ、とっておきの島時間を過ごせます。

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@ama inc.

隠岐ユネスコジオパークを体験するための宿「Entô」。米子空港から境港へ移動し、高速船で2時間もしくはフェリーで3時間かけ菱浦港へ。もしくは出雲空港や伊丹空港から隠岐空港へ。西郷港へ移動し、高速船もしくはフェリーで菱浦港へ、といったようにアクセスは決して良くありません。ですが、目的地に着く過程も旅の一部。僻地であればあるほど旅情は高まりますから、エキゾチックな大地のパワーを感じられる隠岐の島へ、ぜひこの夏でかけてみてはいかがでしょうか。

「Entô」
住所:島根県隠岐郡海士町福井1375-1
TEL:08514-2-1000
https://ento-oki.jp/

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