ヴァージル・アブロー×ナイキ・コラボレーションプロジェクト 知られざるバックストーリーが、1冊の本となって登場

アートブックシーンを牽引する
TASCHENが贈るICONSという芸術の軌跡

この本について語る前に、この本を出版するTASCHENについて語らないわけにはいかないだろう。アートブック界に常にニュースを与え続けるこの出版社は、世界で最も影響力のあるアーティスト、写真家、デザイナー、ポップカルチャーのアイコンとの驚くべきコラボレーションで知られている。その履歴には、20世紀のイギリスを代表するアーティスト、デイヴィッド・ホックニーがiPadで描いた作品から120点を掲載した作品集とプリントがセットになったアートエディション。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが制作したアルバム「ダブル・ファンタジー」のジャケット写真を依頼された篠山紀信が、ジョン・レノンが亡くなる3ヶ月前の二人の世界をとらえた未発表写真で綴った大判写真集。マーク・ニューソンがフェラーリ250のV12エンジンをモチーフに作成したアルミ製ケース付き、フェラーリ社のアーカイブからプライベートコレクション、未公開写真など、フェラーリの歴史を収録した「Ferrari」など。大胆かつ美しいマスターピースなアートブックは枚挙にいとまがない。

常に斬新なチャレンジを続ける、
TASCHENが手がける次なるマスターピース「ICONS」

今回、彼らが作り出したのは、ファッション界に旋風を巻き起こすヴァージル・アブローとナイキのコラボレーション、そのバックヤードを紐解く貴重なデザインプロセスブック。アブローは、シカゴのウィスコンシン大学マディソン校で土木工学の学位を取得後、イリノイ工科大学で建築の修士号を取得。ここで、アブローは、バウハウスのデザインカリキュラムを学び、デザイン活動の法則を作り始める。ファッションの文脈からだけでなく、建築、現代アート、そしてそこから派生するブランディングの視点によって、既存のデザインを再構築。彼の仕事は多岐にわたり、フェンディでインターンシップをしている時代に友人となったカニエ・ウェストのクリエイティブコンサルタント、DJ、ギャラリーオーナー、また自身のストリートブランドOff-White™️では、ジミー・チュウ、ナイキ、クロムハーツ、イケアとのコラボレーションで常に話題を独占してきた。様々な分野で縦横無尽に活躍する彼が、世界のファッションシーンを、まさにあっと言わせたのが、ルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任したことだろう。現代のレオナルド・ダ・ヴィンチとも言えるアブローのクリエティブの思考の一端をのぞくことができるのが、この「ICONS」というわけだ。

収録されるのは、ナイキとアブローのコラボレーション
「The Ten」のデザインプロセス

Off-White™️とナイキのコラボレーションプロジェクトは「The Ten」と名付けられた。ナイキのアイコンであり、マスターピースとも言える、スニーカー10モデルをREVEALING(解体、分析)、GHOSTING(半透明なアッパーを採用)という2つのテーマのもと、アブローが再解釈再構築。エアジョーダン1では、アッパーの随所をカッターナイフで切り、スウッシュは貼り付けたようなデザインに仕上げ、ハンドクラフトテイストに。
「Icons」では、「The Ten」のプロトタイプの制作過程で、アブローからナイキのデザイナーに送られたオリジナルメッセージ、また、ナイキのアーカイブに独自のセンスを加えていく、アブローのDIY的アプローチを記録。エアジョーダン1から切り離されたスウッシュ、エアフォース1に記されるアブローの引用符、バラバラにカットされたコンバースのオールスター……。

文脈の中でのナイキとのコラボレーションの意味

「ICONS」には、藤原ヒロシ、ナイキのニコラス・ショーンバーガー、ライターのロイ・パターソン、キュレーターで歴史家のグレン・アダムソン、そしてヴァージル・アブロー本人のテキストを掲載、デザインの歴史の中でのコラボレーションの定義について言及される。また、このプロジェクトがどのように展開されたか、またスニーカーカルチャーをとりまく、人、場所、モノ、アイデア、素材、表現法についての解説は、ファッションを語る上での永久保存版のテキストとなるだろう。


「Virgil Abloh. Nike. ICONS」
25.5 x 29.7 cm
352 pages
英語版
978-3-8365-8509-5

ナイキのアプリSNKRSの北米版、Off-White™、ヴァージル・アブローが選んだ黒人オーナーの書店、欧米の一部の販売店で先行発売中。
またTASCHEN.com では先行販売予定、詳しくはウェブサイトをご確認ください。

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