美しさと精微さ精度、実用性が同居する新たなるマスターピース「パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ」誕生

取材/文:名畑政治
REPORT / TEXT: Masaharu Nabata

その美しいフュメ・ダイアルと世界屈指の卓越した技術力で多くの時計ファンを虜にしているH.モーザーから、待望の新作「パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ」が誕生した。

見る者を魅了する美しいバーガンディのフュメ・ダイアル


H.モーザーの新作「パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ」を最初に見たときの印象は、そのダイアル・カラーとストラップの絶妙なマッチングであった。
まず目を奪われたのが中心から周辺にかけて濃い色に変化するバーガンディ・カラーのフュメ・ダイアルの美しさ。フュメ・ダイアルとはフランス語で「煙(けむり)」を意味する「フュメ(fumée)」に由来するもので、煙のようなモワッとした独特のカラーリングから、こう呼ばれるようになった。その美しいグラデーションをH.モーザーでは特殊なラッカー塗装や高温で焼成するエナメルによって実現しているが、その流行のきっかけを作ったこともH.モーザーの功績である。

ミニマルを極めソフィスティケートされた個性


ダイアルにメーカーやブランドを示すロゴが見当たらないのもH.モーザーならでは。
H.モーザーには、ロゴやインデックスを完全に排除した「コンセプト」というモデルがあるが、この新作では通常の立体的なインデックスは装備しつつ、ブランド・ロゴを透明ラッカーで12時位置に印字。これによって一見、ロゴがないように思わせつつ、近づいてじっくり観察すると見えてくるという劇的な効果が生まれたのだ。もちろん、近づかなくても一目で「H.モーザーの作品」とわかる際立った個性を備えていることは言うまでもない。

バーガンディフュメダイアルとオリーブ系のラバー・ストラップの絶妙なマッチング


私がなにより感心したのは、このバーガンディのフュメ・ダイアルにオリーブ系のラバー・ストラップをマッチングさせたセンスである。
オリーブドラブやカーキなどの沈んだカラーは、ミリタリーの装備やアウトドア・ウェアに用いられることが多い。その理由は「自然に溶け込み目立たなくする」ため。この、あえて視認性を低く抑えるカラーを鮮やかなバーガンディのダイアルと組み合わせるのは常識的にはありえない。
通常ならバーガンディのダイアルならブラックか同系色のストラップを合わせるが、H.モーザーはあえてカーキ系をマッチさせた。つまり、バーガンディとカーキという、相反する個性を持つカラーをあえて組み合わせることで強烈なインパクトとメッセージ性が宿るのだ。

実は私はミリタリー・ウェアをコレクションしており、日常でもそれを着用することが少なくない。だが、私はミリタリー・ウェアのデザイン性や機能性に着目しているのであって、決して戦争を賛美するつもりは毛頭ない。そこでミリタリー・ウェア着用の際の決まり事にしているのが、赤や黄色、あるいはビビッドな緑などを差し色として用いること。このマッチングによってミリタリー・ウェアを戦闘のためではなくファッションとして身につけているということを自分なりにアピールしている。
そんな私にとって「パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ」におけるダイアルとストラップの組み合わせは、ミリタリーやアウトドアをデザイン的要素として取り入れつつ、戦争や暴力を否定する強烈なメッセージとして胸に迫ってきたのだ。

ケースバックから覗く美しく精巧なフライングトゥールビヨン


もちろん、このモデルの見どころはムーブメントにもある。それが6時位置の窓から見えるフライングトゥールビヨンである。その特徴のひとつが、テンプの動きを司るヒゲゼンマイにH.モーザーの系列会社「プレシジョン・エンジニアリング」が製造したダブルヘアスプリングを搭載していること。厳密な計測によって完全なマッチングが確認されたふたつのヒゲゼンマイを用いることで、それぞれのゼンマイの重心移動が補正され、飛躍的な精度と等時性の向上を実現。
また、ヒゲゼンマイをひとつだけ用いた場合よりも、ペアになったヒゲゼンマイを使うことで摩耗が軽減され、等時性がいっそう向上する効果もあるという。
しかも、このフライングトゥールビヨンは、独立して交換可能なモジュール構造となっているため、修理や調整が極めて容易なことも大きな特徴。これはH.モーザーが再生・復活した以降に開発されたムーブメントの特徴でもあり、それはトゥールビヨンという複雑機構搭載キャリバーにも維持されているのだ。

また、このモデルに搭載されているH.モーザーの自社製造による自動巻きトゥールビヨン・キャリバーHMC 805は、以前のキャリバーHMC 804と比べると、ブリッジにスケルトン加工を施すことで、より一層、メカニズムの最深部まで見渡せるようになった。このような時計のメカニズムを細部まで見せる方針は時計の裏側にも徹底しており、自動巻きローターにもスケルトン加工が施され、香箱からトゥールビヨンに至るまでの輪列の動きを、つぶさに観察することが可能となっている。


このように豊かなメッセージ性と細部にまで行き届いた高度なメカニズムと仕上げが施された「パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ」は、高い効率を実現した巻き上げシステムによって3日間というロングパワーリザーブを実現。コンプリケーション・モデルというとメカニズムの精緻さや美しさが優先され、実用性が軽んじられる傾向があるが、H.モーザーのこのモデルは、精度と実用性においても卓越した存在であり、それはまさしく「普段遣いできる複雑時計」と呼べる新たなる傑作なのである。

商品詳細&スペック

パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ

■リファレンス:3805-0400
■ケース:5N レッドゴールド ケース
  ドーム型サファイアガラスおよびシースルー ケースバック
  「M」で装飾されたねじ込み式リュウズ
■サイズ:直径40.0 mm サファイアガラスを含む厚さ:12.0 mm
■防水:12 気圧防水
■ダイアル:サンバースト仕上げを施したバーガンディ フュメ ダイアル
  透明なラッカー仕上げの H. Moser & Cie. ロゴ
  ファセット加工が施されたアプライドインデックス
  スーパールミノヴァ®がコーティングされたアワーマーカー
  スーパールミノヴァ®がコーティングされたリーフ型の時針と分針
■ムーブメント:自社製自動巻きキャリバー HMC 805
  直径:32.0 mm(14 1/4 リーニュ)
  厚さ:5.5 mm
  振動数:21,600 振動/時
  ラチェット式両方向自動巻きシステム
  18K レッドゴールド製スケルトン ローター
■パワーリザーブ:約3日間
■機能:時針および分針
■ストラップ:手縫いのアリゲーター レザー、ファブリックまたはラバーのストラップ

オリジナルのダブルヘアスプリング
6時位置のミニッツ フライング トゥールビヨン、スケルトンブリッジ
モーザー ダブルストライプで装飾されたアンスラサイト仕上げ
部分的にスケルトン加工が施されたブリッジ

価格:10,714,000円(税込)

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