H.モーザーという時計ブランドをご存じだろうか?
LUXBLOの熱心な読者なら何度かとりあげているので知っていただいていることだろう。
多くの製作工程が手作業で行われるため、生産本数が少なく極めて希少なH.モーザー。そのため、ROLEXやPatekのように王道ではないものの、ひげゼンマイまで自社で生産できる世界有数の完全マニュファクチュールという技術力の高さや、製造における高いこだわり、フュメと呼ばれるグラデーションの文字盤を含めたデザイン性の高さなど、時計好きを惹きつけて止まないブランドだ。
そのH.モーザーから時計技術の最高峰と言われる、三大複雑機構の2つ「ミニッツ・リピーター」と「トゥールビヨン」を搭載した新作が発表された。
世界有数の本物のマニュファクチュール
H. モーザーはハインリッヒ・モーザーにより 1828 年に創設された時計ブランド。創業者は、スイス初となった機械式水力タービンを利用した発電所の建設など、数々の歴史に残る業績を成し遂げた偉人で、H.モーザーの現在につながる大きな礎を作り上げた。
マニュファクチュールを掲げる多くのブランドでも、他社からの供給を受けていることが多い”ひげゼンマイ”までも自社で製作するという世界でも指折りの完全マニュファクチュールとして極めて高い技術力を有するブランドだ。
技術力もさることながら、その徹底したこだわりとブランドアイデンティティは素晴らしく、フュメと呼ばれる多大な手作業によって生み出される繊細で美しいグラデーションダイアルなど、こだわりから生み出される時計の美しさもファンを虜にしている。
バレエのように踊り美しい音色を奏でるミニッツリピーター
H.モーザーの新作コンプリケーションウォッチは、ミニッツリピーターにスポットライトを当てた「ストリームライナー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン ブルーエナメル」。
ミニッツリピーターをダイアル側に配した大胆なデザイン
ミニッツリピーター機構をより魅せるために作られたデザインは、なんと通常はムーブメント側にある2個のゴングとハンマーをダイアル側に配置するというまったく新しい大胆なもの。
通常では考えられないその配置を実現するには、数多くの技術的な問題の克服が必然となった。
特にこの新作には”フライング トゥールビヨン”も搭載しているため、それぞれの動きに干渉させない工夫が必要であり、より技術的難易度を上げることとなった。
人間工学に基づいて同一平面上に配されたゴングは、フライング トゥールビヨンの動作を妨げず、ストリームライナーの特徴でもある流線型の美しくバランスの取れたプロポーション、高度な仕上げといったH.モーザーが常に目指している純粋なデザインを踏襲するために、弧を描いた形にするという難題の克服が必要であった。
全てを克服して配されたハンマーとゴングは、まるでバレエのように優雅に美しく回転しながら、美しい音色を響かせる。
最高のハーモニーを奏でるために多くの労力が注ぎこまれたケース
誰をも惹きつける美しい音色を引き出すために、そのサウンドボックスのベースとなるスチールケースの製作にも多大な時間が費やされた。
ムーブメント収納部であるケースの中央部は、最大限のスペースが広げられ、音色のカギとなるサウンドボックスを作るために十分なスペースが設けられている。そのサウンドボックスによって、異なるフィーラースピンドルから得られる情報に基づいて作動する2個のハンマーが2個のゴングを叩き、時、15分単位、および分を告げる音を増幅させ、天上の歌声が生み出される。
ケースはコンプリケーションでありながらも、5気圧の防水性能も有しており、海の中で声を失った人魚の代わりに美しい歌声を魚たちに届けることも可能だ。
世界三大複雑機構の一つミニッツリピーター
ミニッツリピーターとは、設置されたハンマーでゴングをたたくことで音を奏で、時刻を音で知らせるというコンプリケーション機能。
ミニツリピーターを作るには極めて高度な技術を必要とするため、「トゥールビヨン」「永久カレンダー」とともに世界三大複雑機構といわれ、コンプリケーションウォッチの最高峰とされている。
ミニッツリピーターのゴングが奏でる美しい音色は、その成り立ちを知る時計愛好家たちにとって天上の歌声であり、あこがれや羨望を浴び、人々の鼓動も高まらせ魅了し続ける。
浮かび上がるフライングトゥールビヨン
「ストリームライナー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン ブルーエナメル」は、三大複雑機構の二つを有する最高峰モデルだ。
6時位置に配された「ミニッツ フライング トゥールビヨン」も滑らかに美しく動き、ダンスさながらの動きで魅了する。
また、名前の通りダイアルの上に無重力状態で浮かんでいるかのように見える作りで、機能面だけでなく視覚的にも美しく愉しませる要素を持ち合わせた逸品となっている。
グラン・フー エナメル仕上げのダイアル
ロゴもインデックスもないダイアル。鮮やかな美しいブルーの色合いだけがアイデンティティを引き立て、ミニッツリピーターとトゥールビヨンの美しさに目を奪われる。
余計なものは何もない、美しさがあるのみのコンプリケーションを覆い隠すこれ以上ないシンプルな造形。シンプルであるが故に、ごまかしがきかない美しさを作り上げるのが熟練の職人によるこだわりの手作業だ。
ダイアルの表情を作るグラン・フー エナメル仕上げは、ゴールドのベースに打痕模様を打ち出す作業から始まる。
美しい濃淡は色の異なる4つの顔料を湿らせて細かく砕いてから塗布することで生み出される。一つひとつの顔料を慎重に加え、炉で熱して酸化させ、むらなく溶融させるまでの工程は細心の注意を要し、熟練のエナメル加工職人であっても1時間近くかかる高度な作業だ。
H.モーザーの象徴であるフュメダイアルの透明感のある「グラン・フー」エナメルに仕上げるには12回もの焼き入れが行われる。こうして生まれるダイアルには、ひとつとして同じ物はなく、ロゴやインデックスを排してもアイデンティティを保ち、唯一無二の芸術品として誕生する。
90時間のパワーリザーブのエレガントなニュームーブメント
複雑でありながらシンプルで美しい芸術品ともいえるこのモデルに息吹を吹き込むのは、90時間のパワーリザーブを誇る新しいムーブメント手巻きキャリバー「HMC 905」だ。
美しい現代的なアンスラサイトグレーで彩られたムーブメントは、部分的にスケルトン加工を施されており、類まれな複雑で魅力的な機構を存分に堪能できるようになっている。
伝統的な美しさをシンプルなミニマリスト スタイルで表現することで、これまでの概念を打ち砕く新作にエレガントな魅力が加わった。
無駄なものを省いて、最高の音色を奏でるH.モーザーの新作「ストリームライナー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン ブルーエナメル」。
シンプルなのにシンプルでない、その奥深さに触れて見て欲しい。
ストリームライナー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン ブルーエナメル
直径:42.3 mm
サファイアガラスを除いた厚さ:12.2 mm
5気圧防水
【ダイアル】
槌目仕上げのアクアブルー フュメ「グラン・フー」エナメル
ダイアル側にハンマーとチャイム
グロボライト® インサート付きの時針および分針
【ムーブメント】
手巻き(HMC 905 キャリバー)
振動数:21,600 振動/時
パワーリザーブ:90 時間
6 時位置のミニッツ フライング トゥールビヨン
ミニッツリピーター
【ストラップ/ブレスレット】
一体型ステンレススチール製ブレスレット
世界限定50本
予定価格:お問い合わせください
予定発売時期:2024年9月
問い合わせ先:(株)エグゼス03-6274-6120