人気ゴルファーのバッバ・ワトソンにとって、リシャール・ミルとの結びつきは特別なことだろう。今でこそ有名な彼だが、リシャール・ミルと出会った頃は、飛ばし屋としては知られていたが、ツアー1勝のワン・オブ・ゼムな存在だった。しかしリシャール・ミルのファミリーとなり、彼のために開発された「RM 038 トゥールビヨン バッバ・ワトソン」とツアーを回るようになると、2011年に二勝目をあげ、2012年のマスターズで初優勝。そして2014にもマスターズを制覇。400ヤード越えのスーパーショットを連発する華のあるスターゴルファーとして、すっかり人気者となった。
もちろん彼の努力が実を結んだことは間違いないが、リシャール・ミルとの繋がりによって運気が上がってきたというのも、あながちおかしな話ではないだろう。リシャール・ミル氏のオープンな性格は、周囲の人たちを幸せにする。そのパワーを受け取ったということなのかもしれない。
その後も、バッバ・ワトソンとリシャール・ミルはコラボレーションを重ね、今年は3作目となるトゥールビヨンモデル「RM 38-02 トゥールビヨン バッバ・ワトソン」が発表された。このモデルの斜めに走る2本のブリッジで香箱とトゥールビヨンキャリッジを支える構造は、初代の「RM 038」に似ているが、そこにさらなる進化を加えている。なにせバッバ・ワトソンは圧倒的なパワーヒッターであり、しかもレフティー。これまでにも数々の耐衝撃ウォッチを製作してきたが、進化するバッバ・ワトソンのスイングに対抗すべく、リシャール・ミルも時計を進化させる必要であった。
ムーブメントの地板はグレード5チタンで、繊細なパーツたちをしっかりと固定。さらにセンターのブリッジは、ムーブメントの両端でチューブによって固定され、10000G以上の耐衝撃性能を引き出した。さらにケースの形状にも工夫がある。レフティー(右利き、左打ち)のバッバは、右手にグローブ、左手に時計をつける。そのためコックしたときにトルクリミテッドクラウンが手首に食い込んでしまうのだ。その状況を解消するためにケースは左右非対称となり、さらに2時から5時の間に傾斜を作ることで、プレー時の着用感を向上させている。
そしてカラーリングでも新たな試みを加えた。これまでのバッバ・ワトソンモデルは、鮮烈なホワイトカラーが特徴で、さらにマスターズ勝者が着るグリーンジャケットに合わせたグリーンベゼルも人気だったが、この時計はピンク色を採用している。これはバッバ・ワトソンが10年間も製作を依頼していた色で、彼のラッキーカラーでもある。
実はバッバ・ワトソンは、2010年に実父をがんで亡くしている。そこで乳がん撲滅キャンぺーンのピンクリボンのヒントを得て、契約メーカーにピンク色のゴルフクラブを依頼し、300ヤード越えのショットが出るたびにチャリティを行うという取り組みを始めたのだ。現在もバッバ・ワトソンはピンク色のドライバーを使用しており、彼のイメージカラーにもなっている。だからこそ時計にも、ピンクを使いたいと願ったのだ。
これまでにもリシャール・ミルでは、ピンク色のセラミックスを使ったレディスモデルは存在していた。しかしこの素材では、バッバの強烈なスイングに負けてしまう。そこで彼の熱意に応える形で、リシャール・ミルでは素材を新たに開発した。
厚さ45ミクロン以下のシリカファイバーの層に特別に開発したピンクの染料をしみこませた「ピンククオーツTPT®」と「ホワイトクオーツTPT®」は、ベゼルとケースバックのパーツに加工する際にピンク色と白の層が現れる。またミドルケースには、「カーボンTPT®」と「ピンククオーツTPT®」を組み合わせている。さらにムーブメントパーツやインデックスにも効果的にピンク色を使用した。
男性用のスポーツウォッチにピンク色を使うのは極めて異例だが、ここ数年の時計業界ではジェンダーレスな流れを受けて、男女で使えるミドルサイズモデルにピンクダイヤルが増えている。これなら夏のまぶしい日差しの下では爽やかなアクセントになるし、冬になればモノトーンコーディネートの差し色にもなってくれそうだ。
リシャール・ミルもバッバ・ワトソンも、業界内で唯一無二の個性を持ち、大胆に進化をし続けてきた。そんな両者の絆の象徴でもある時計は、技術力や素材の表現力に加えて、人と人とのあたたかなつながりも楽しめる時計となっている。
バッバ・ワトソン、待望のピンク色の時計が登場しました。
これまでのバッバ・ワトソンモデル、RM 038 トゥールビヨン バッバ・ワトソン、RM 38-01 トゥールビヨン バッバ・ワトソンと新作RM 38-02 トゥールビヨン バッバ・ワトソンを比較してみると、新作は、キャリバーにピンク色にハンドペインティングされた裏輪列押さえのチューブや湾曲している地板など、歴代からデザインを引き継ぎ、地板にカーボンTPT®を用いるなど技術的な更新を行っていることが分かります。裏輪列押さえのチューブのピンク色はバッバ・ワトソン氏のアイコンでもあるPINGのドライバーからインスパイアされており、キャリバーのアクセントとなっています。
通常のキャリバーならネジで地板をケースに取り付けるのですが、この時計は地板に取り付けられた微細孔を施された独特なブリッジによりケースと接続しています。これはキャリバーの重要部分を一つの塊として保護するために重要な働きをしていると考えられます。リシャール・ミルには衝撃を緩衝するためにワイヤーでキャリバーを保持する機構がありますが、それに近い機能として用いられているのではないでしょうか。
バッバ・ワトソン氏からのフィードバックにより、リュウズが腕にあたりにくくするために3時側が厚くなっているケースになっています。このアシンメトリータイプのケースは空気力学と人間工学をもとに以前設計されたものを、装着者の装着腕などのより人間工学的なアプローチをされテーラーメイドされているのです。
念願のピンク色をあしらった時計を受け取った時、バッバ・ワトソン氏はとても喜んだに違いありません。
キャリバー:RM38-02(手巻きトゥールビヨンムーブメント)
サイズ:43.70 x 50.04 x 15.95 mm(ムーブメントサイズ:29.52 x 30.84 mm)
防水:50m
ベゼル:ホワイト×ピンククオーツTPT®
ミドルケース:カーボンTPT ®×ピンククオーツTPT®
ケースバック:ホワイト×ピンククオーツTPT®
トゥールビヨン直径:10.90 mm
テンプ直径:9.12 mm
ストラップ:ホワイトラバーストラップ
リューズ:ピンククオーツTPT®×ホワイトクオーツTPT®×カーボンTPT®
石数:21
振動数:21,600振動/時(3 Hz)
パワーリザーブ:約70時間(± 10%)
耐衝撃性:10,000G
世界限定:50本
価格:¥127,000,000(税込予定価格)
問い合わせ先:リシャールミルジャパン TEL.03-5511-1555
《リシャール・ミル アフターサービス技術者のコメント》
バッバ・ワトソン氏、待望のピンク色の時計が登場しました。
これまでのバッバ・ワトソンモデル、RM 038 トゥールビヨン バッバ・ワトソン、RM 38-01 トゥールビヨン バッバ・ワトソンと新作RM 38-02 トゥールビヨン バッバ・ワトソンを比較してみると、新作は、キャリバーにピンク色にハンドペインティングされた裏輪列押さえのチューブや湾曲している地板など、歴代からデザインを引き継ぎ、地板にカーボンTPT®を用いるなど技術的な更新を行っていることが分かります。裏輪列押さえのチューブのピンク色はバッバ・ワトソン氏のアイコンでもあるPINGのドライバーからインスパイアされており、キャリバーのアクセントとなっています。通常のキャリバーならネジで地板をケースに取り付けるのですが、この時計は地板に取り付けられた微細孔を施された独特なブリッジによりケースと接続しています。
これはキャリバーの重要部分を一つの塊として保護するために重要な働きをしていると考えられます。リシャール・ミルには衝撃を緩衝するためにワイヤーでキャリバーを保持する機構がありますが、それに近い機能として用いられているのではないでしょうか。バッバ・ワトソン氏からのフィードバックにより、リュウズが腕にあたりにくくするために3時側が厚くなっているケースになっています。このアシンメトリータイプのケースは空気力学と人間工学をもとに以前設計されたものを、装着者の装着腕などのより人間工学的なアプローチをされテーラーメイドされているのです。
念願のピンク色をあしらった時計を受け取った時、バッバ・ワトソン氏はとても喜んだことでしょう。