温故知新の考えから、ヴィンテージカー文化を育てる
車愛好家にとって、所有する車のレガシーを語ることはひとつの誇りであり、無常の悦びだ。トライデントと呼ばれる三叉の鉾のエンブレムを掲げ、1914年にイタリアのボローニャで誕生したマセラティは、常に革新を追い求め続けながらも、100 年を超える歴史の中で確固たるDNAを継承してきた。一瞥しただけでマセラティと認識できる極めてユニークなスタイルと生粋の高級感、歴史に名を刻む数々の伝統的なモデルは、デザイン、パフォーマンス、快適さ、優雅さ、安全性などあらゆる面で「イタリアのスポーツカー」を体現する。そうして、レガシーから生まれる夢を人々に与え続けてきた。
そんなマセラティが2021年末、同ブランドのヘリテージを保護し、オリジナリティを促進することを目的とするマセラティ・クラシケ プログラムを開始。マセラティのオーナーとコレクター専用の独自のサポートサービスに加えて、真正性を証明する公式認定プログラムを提供する。対象となるのは、発売から20年以上経過した、いわばヴィンテージ・マセラティの車両。オリジナルの状態を保ち、車が完全に機能することが証明されると、公式認定証が発行される。
日本で初の公式認定を受けたギブリ4.7クーペ
マセラティ・クラシケが世界で最初に認定したロードカーは、1969年3月に製造されたミストラル3700。イタリアで公式認定を受けたこのミストラル3700は、マセラティが保有するすべての歴史的アーカイブや資料と照合され、車両の徹底的な検証(300項目以上の点検を実施)を受けて認証された。そして2022年秋、同様の行程を経て日本でも初の認定車が誕生。1968年製のギブリ4.7クーペ(310ps)が鑑定に必要なすべての入念なチェックを終えて、オリジナルであることを証明する「サーティフィケーション・オブ・オリジナリティ(Certification of Originality)」を取得したのだ。
日本第1号車として認定されたギブリ4.7クーペは、1966年のトリノモーターショーで発表された後、1967年に最初のモデルが生産されている。排気量4.7l、最高出力310psのV8ツインカムエンジンを搭載し、ウェーバー40DCNL/5キャブレター4基を備え、0-100km/h加速は約6.5秒、最高速度は270km/hに達した。当時ギア(Ghia)に所属していたジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたこのモデルは、リトラクタブルヘッドライト、レザースポーツシート、アロイホイールなどを採用し、低い流線型のフロントが美しいシルエットを描く名車として、今なお多くのカーマニアたちの記憶に新しい。
レストアサービスも提供するマセラティ・クラシケ
専門技術者で構成された委員会が保証する公式認定プログラムでは、20年以上前に製造された車両の他にも、MC12 やクワトロポルテ・リミテッドエディションなど最近発売された特別モデルも対象になるという。
さらに、このプログラムはコレクターや顧客の要望に応じて、細かいリペアや定期点検を含むメンテナンスサービスと、オリジナルに合わせたスペアパーツ管理や細部に至るまでのレストアサービスも提供。クラシケ、ヤングタイマー、スペシャリティカーそれぞれに専用のサービスプランが用意され、メンテナンスやレストアのさまざまな段階におけるフォローアップを実施している。すでに廃番となった補修部品もオリジナル設計に基づき製造し、外観を変えることなく構成部品の信頼性と機能性を向上させることがマセラティ・クラシケの重要な任務なのだ。
マセラティのオーナーにとっては、所有する車への愛着がさらに増すこのプログラム。内容はマセラティ・クラシケ専用ウェブサイトで確認できる。料金やスケジュールなどのさらなる詳細ついては、同サイト上のフォームを利用して担当者への問い合わせが可能だ。
マセラティ・クラシケ専用ウェブサイト
https://www.maserati.com/jp/ja/brand/maserati-classic
https://www.maserati.com/jp/ja/news-event/maserati-certification-of-authenticity-the-new-maserati-classiche-programme-begins