完全オーダーメイドで作られたフェラーリが誕生
世界中で、持っているのは自分だけ。この限定感と特別感は、誰しもが一度味わってみたいと思うことだろう。しかもそれが、世界一のスポーツカーと称される「フェラーリ」で叶うとしたらどうだろう。所有する喜び、走りの爽快感は、例えようのない唯一無二のものとなるはずだ。こんな夢のまた夢とも思ってしまいそうな最高の贅沢を叶えた人物が、またひとり誕生した。フェラーリは11月11日、クライアントの要望に沿って完璧なオーダーメイドモデルを製作する「スペシャル・プロジェクト」の最新作「フェラーリBR20」を発表したのだ。世界にたった一台、オーナー好みにカスタマイズされた唯一無二のモデル。今年は一体、どんなクルマが完成したのだろうか。
「スペシャル・プロジェクト」とは
「スペシャル・プロジェクト」は、フェラーリが2007年から始めたサービスだ。顧客の要望に沿って、オンリーワンのモデル「ワンオフ」を製作するプロジェクトのこと。クルマを製作する全ての出発点は、オーナーとなる顧客のアイデアだ。車両のプロポーションやフォルム、デザインに至るまで徹底的に話し合いが行われ、全てのプロセスに密接に関わっていく。そしてそのたっぷりの願望を、フェラーリのスタイリングセンター、デザイナーチームが完璧に具現化するのである。全プロセスを完了させるまでに有する時間は、平均で1年以上。時は金なり。そんな言葉とは真逆の、時間も労力もふんだんに使う、贅沢すぎるプロジェクトなのだ。
ベースとなったのは「GTC4ルッソ」
そんなプロジェクトで完成した最新作が「フェラーリ BR20」。ベースとなっているのは、「GTC4ルッソ」というモデルだ。「GTC4ルッソ」といえば、2016年に発表された、フェラーリ初の四輪駆動モデルとなった「フェラーリ・フォー(FF)」の後継車と言われるクルマである。「ルッソ」はイタリア語で「贅沢」を意味する。1950年から60年代に発表された往年のモデルを復活させる傾向にあった2010年代に、最高の贅沢を表現するために作られたモデルだ。「GTC4ルッソ」はシューティングブレークのボディ形状をした4シーターであるが、「BR20」は2つのリアシートが外され、ファストバックのラインがダイナミックに表現された、2シーターV12クーペに仕上げられた。これはエレガンスとスポーティを融合させる難しいチャレンジだったらしいのだが、見事に組み合わさっているだけでなく、「410 SA」や「500 Superfast」と言った、フェラーリ史に残るアイコニックなモデルのニュアンスまで取り入れてみせた。
とにかく美しい「BR20」
BR20は、GTC4ルッソに比べてボディが3インチ長くなっている。それに合わせて特徴的なリヤをオーバーハングすることによって、曲線をより強調できるような、美しいシルエットが完成した。カーボンファイバー製のディティールもふんだんに使用。フロントグリルは水平スリットになっていて、力強い立体感を醸し出しながら、BR20をより個性的なものに昇華させた。このクルマのすごさは、デザインだけではない。BR20のためにデザインされた専用エレメントだってある。しかも、複数個あるというから驚きだ。最も特徴的なのは、ヘッドライトだろう。GTC4ルッソよりも低い位置に取り付けられているのだが、よりスリムな設計になっているから、ボンネットがより長く美しく見えるようになっているのだ。ホイールだって、専用。濃淡のあるダイヤモンド仕上げが丁寧に施された。
エクステリアだけでも十分に美しいが、インテリアだって美しい。シートは「ヘリタジ・テスタ・デ ィ・モロ」という特別なレザーで覆われていて、前面には特別なシルバーのクロスステッチが施された。濃淡のある2色のブラウンレザーとカーボンファイバーの絶妙なコントラストは、クライアントの希望に沿って特別に開発された組み合わせだ。リアベンチとラゲッジデッキはフラットに折り畳むことができ、奥行きのある荷室とドアハンドルが現れる仕様になっている。フロントウィンドウから後部まで遮るものがなく、軽快な印象を受けるのもまたいい。
とっておきの贅沢を夢見て
オーナーのわがままを、フェラーリのクルーたちが徹底的に叶えた一台。またすごいクルマが誕生したものだ。スーパースポーツカーは、オヤジたちのカンフル剤。どこまで頑張ればこの贅沢を体験できるかはわからないが、夢見ることは自由だ。自分だけの一台を想像して、今後のフェラーリに注目していけば、また違った楽しみ方ができるかもしれない。
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