北海道のFUDO〜風土〜を旅する 仁木町ニセコ町テロワールツーリズム


夏は涼しく快適、冬はウィンタースポーツで熱くなる北海道は、いま“アジアのスイス”とも称され、世界の富裕層の間で注目を集めている。そんな北海道の、もうひとつホットなトピックとなっているのがワインである。

山梨県、長野県に続く全国3位のワイン生産量を誇る北海道。近年では本場フランス・ブルゴーニュのワイナリーが進出したり、泊まれるワイナリー、食事ができるワイナリーといったものも誕生したりと、、ワインツーリズムが盛り上がりを見せているのだ。

そうした状況下、リゾート地としても人気上昇中のニセコ町と仁木町が、北海道ワインのオーソリティ的存在である阿部さおり氏(インターリンク代表)の企画のもとに、ワイナリーだけでなく近隣の魅力的な食に関連するスポットもコンテンツに取り込んだ「北海道のFUDO〜風土〜を旅する 仁木町ニセコ町テロワールツーリズム」を実施。“ワイン&北海道の美味”に加えて、雄大な自然そのものを満喫する旅の魅力をレポートとしてお伝えしよう。

札幌から1時間半足らずで着く、ワインの里へ

初冬の北海道。千歳空港に降り立った朝は、まだ雪こそ降っていなかったものの、現地の言葉で言う“しばれる”(=「冷え込む」の意味)感覚に、耳がじんじんする。

集合場所は「札幌グランドホテル」。旅は、ここをバスで出発し、2泊3日の旅程で仁木町とニセコ町のワイナリーほかグルメ関連施設を巡る内容だ。

ブドウ畑の景観を望むグルメスポット


まず向かった先は、果物の産地として有名な仁木町である。札幌市からおよそ60kmの道程だが、高速道路に乗ってしまえばドライブはとてもスムーズ。海岸線の景色、山の景色を楽しみながら、1時間半も掛からずに着いてしまった。

最初のデスティネーションは、目の前にブドウ畑が広がる絶好の景観を独り占めするかのような蕎麦屋「naritaya」。本格的な手打ち蕎麦を出しながら、ここでしか飲めないワインや気の利いた料理も楽しめる、小粋なグルメスポットとなっている。

全国でも珍しいワイン神社「仁木神社」


早めの昼食をほろ酔い気分で楽しんだ後に向かったのは、同じ仁木町内にある仁木神社。地元にあるNIKI Hillsワイナリーや日本ソムリエ協会名誉顧問を務める熱田 貴氏とのご縁もあり、全国でも珍しい“ワイン神社”としても知られる場所だという。実際、境内に入ってすぐに目に飛び込んできたのは、ボトルとグラスを模った石灯籠の透し飾りや、奉納されたワインの酒樽。なんとも粋ではないか。

ワインと美食のあるリゾートへ

美味しいワインとの出合いを祈った後、バスはいよいよこの日の逗留先ともなるワイナリーリゾート「NIKI Hills Winery」へと向かう。

情緒的で美しい風情のワイナリー


収穫も終わり、すっかり枝葉の落ちたブドウ畑ではあるが、しばし散策してみる。今年の収穫はどうだったのか、どんなワインになって、いつ頃飲めるのだろうか――などと楽しい妄想に耽りながら、まだ緑色を残した下草を踏んで歩く。ふと見上げると、斜面の上にはモダンなワイナリーの建物が。樹々の梢に縁取られたフラットルーフと、空を写し込むガラスのファサードによって、周囲の自然に溶け込むような外観だ。


中に入ると、そこにはホテルのロビー&ラウンジとワインバー&ショップを兼ねた開放的な空間が広がる。もちろん、窓の外には外で見たのと同じ、雄大なワイナリーの景色が。


ワインを好みのブレンドで愉しめる体験イベント


チェックインを済ませ、しばし寛いだのち、ラウンジでユニークな体験イベントが始まる。ケルナー、バッカス、シャルドネといった異なる白ブドウ品種の原酒を、味や香りのバランスを吟味しながら自分の好みでアッサンブラージュ(ブレンド)してみようというもの(※本プログラム用の特別企画)。太田麻美子氏とウィズリントン・マリコ氏の2人のワインメーカーの指導のもと、まずはそれぞれの原種を利き酒したり、少しずつブレンドしてみたりと、テイスティングしながらの楽しいひと時を過ごす。

ワインとのマリアージュを愉しめるディナー


醸造所やワインセラー見学もあり、心も体もすっかりワインで満たされたタイミングで、お待ちかねのディナータイム。ヴォールト天井のレストラン「アペルシュ」で「NIKI Hills Winery」のワインと合わせた食事がスタートする。


永井尚樹シェフが一品一品手間暇をかけてつくる料理は、眼に美しく舌に嬉しい、繊細かつ食材本来の美味しさを最大限に引き出したもの。その美味しさをさらに引き立ててくれるワインと共に楽しむ食事は、忘れがたいものとなった。

羊蹄山に育まれた美味に出合う旅


翌朝、ホテルを出て再びバスに乗り込んだ我々は、夜の間にすっかり真っ白に変わっていた雪の大地を走り「ニセコ髙橋牧場」へ。北海道の富士山――蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山を眺めながら、ここでも地元産のワインと合わせた地物の野菜をはじめとする新鮮な食材を用いた料理を堪能する。

アクティビティを愉しみ「ヒルトンニセコビレッジ」に

その後さまざまなアクティビティを体験し、夜は「ヒルトンニセコビレッジ」に宿泊。スキーシーズンにはまだ早かったが、一面雪景色となった広大な大地を眺め、キーンと音がするような冷たい空気に触れて、これもまた冬の北海道の魅力と感じる。

カラマツで造られた温かみがありモダンなニセコ蒸留所


3日目は、同じニセコ町内にある「ニセコ蒸留所」を訪問。羊蹄山の清らかな伏流水を使ったウイスキーとジンで話題となっているつくり手である。


2020年に完成したばかりとあり、地元のカラマツ材を用いてつくられた建物は、温かみを感じさせながらも明るくモダン。実は新潟の銘酒「八海山」で知られる八海醸造が運営することから、広大な空間内では日本酒、ウイスキー、ジンの垂涎もののコレクションを販売するほか、刃物や食器など見た目も美しい新潟 燕三条の工芸品が並ぶ。

体が温まり期待が高まる蒸留所での試飲


ここでも、ワインとはまたひと味違った蒸留所の様子を見学させていただきつつ、試飲を行う。外の雪景色を見ながら、ジンとウイスキーで体の中から温まるのは、なんとも素敵な体験だ。話によると、ジンには自家栽培のハーブを使用してみたり、ウイスキーにはシェリー樽だけでなく麦焼酎の樽に入れて熟成させてみたりと、もともと小規模の蒸留所だからこそできる“新たな試み”もあり、今後リリースされるラインナップに大いに期待したいところだ。

その後、同じニセコ町の人気店「魚一心」で海鮮丼に舌鼓を打ち、バスでは心地よい午睡を貪るうちに、気が付けば終着地である「札幌グランドホテル」に到着。

今回はプロによりコーディネートされたツアーではあったが、ニセコ町と仁木町のある後志地方は千歳空港からも札幌市内からもアクセスがいい。近くには支笏湖や洞爺湖など、北海道らしい大自然に囲まれた美しい湖もあれば、海もあり、温泉もある。今度は新緑の萌える季節、あるいは収穫の秋などに、自分で運転するクルマで回るのも悪くない――そう思えた旅であった。いま話題の北海道のワイナリーや蒸留所を巡りつつ、雄大な自然とその自然に育まれた美食を味わう旅を、皆さんもぜひご検討されてはいかがだろうか。

【インフォメーション】
NIKI Hills Winery
https://nikihills.co.jp
ニセコ蒸留所
https://niseko-distillery.com/ja/
インターリンク ジャパン
https://www.interlinkjapan.net
ツアー企画/日本旅行
https://www.nta.co.jp/hokkaido/

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