キャンティ・クラシコの誇り、カステッロ・ディ・アマの豊穣の恵みを体感する旅へ

世界で最も美しいと称されるトスカーナ地方の名門ワイナリーに滞在する

イタリア、トスカーナ地方の風光明媚な風景に囲まれた「カステッロ・ディ・アマ」。紀元前の歴史の痕跡も残るアマの土地に、整然とブドウ畑が広がる様子はとても美しい。

“アマ城の周囲にはキャンティで最も美しい丘と谷がある。肥沃な穀物畑、オリーブの木々、生き生きとしたブドウ畑に陽が降り注ぐ様子は風光明媚ですべてが庭園として見事である。” -トスカーナ大公レオポルト(1773年のトスカーナ政府に関する報告書より)

イタリア・トスカーナ地方の「カステッロ・ディ・アマ」

「キャンティで最も素晴らしいワインが出来る場所」として、かつてトスカーナ大公レオポルトも称賛してやまなかったアマの地。その豊かなテロワールを表現する名門ワイナリーは、今日、キャンティ・クラシコの頂点に君臨する。2003年にガンベロ・ロッソのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを、2005年にはガンベロ・ロッソのワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞。そんなカステッロ・ディ・アマを訪ねて滞在し、土地に根付いたワインと美食を堪能しながら、この地に捧げられたアートも楽しむことができることをご存じだろうか?

キャンティ・クラシコの名声を復活させる

トスカーナ州の州都フィレンツェと、その南に位置するシエナの間に広がる美しい丘陵地帯がキャンティと呼ばれるエリアだ。この地域でのワイン造りの歴史は、700年代の中世にまで遡ることができるという。優れた石灰と泥灰質からなる土壌、程よく高い標高、丘陵による適度な斜面などの好条件を備えて、上質なワインの生産地として高く評価されてきた。

整然と美しいブドウ畑がアマの地に延々と広がる

転機が訪れたのは19世紀のこと。白ブドウを含む他の品種をサンジョヴェーゼに加えた混醸率が考案されると、国外への輸出が急増。親しみやすいワインとして世界中に知れ渡る一方で、キャンティの名が付いてさえいれば売れる時代に突入し、キャンティと称する地域が拡大。安い価格で品質の低いキャンティが大量生産されるようになった。

これを危惧したのが一部の生産者たちだ。「キャンティ・クラシコ」の組合を新たに結成し、かつての威光を取り戻そうと情熱を燃やした。徹底して品質にこだわり、1996年にはキャンティD.O.C.Gから独立。その結果、国内外のワイン専門誌で次々と高評価を獲得するに至り、キャンティとは一線を画す地位を築き上げた。

カステッロ・ディ・アマのテロワールを再生し、頂点へ

キャンティ・クラシコの地位を復活させたことで知られる名醸造家、マルコ・パランティ氏

先鋒となったのが、今日キャンティ・クラシコの最高峰と称されるカステッロ・ディ・アマだ。神聖ローマ帝国時代には名門貴族の所有地となり、トスカーナでも有数の歴史を誇るカステッロ・ディ・アマに新たな息吹が吹き込まれたのは1970年代のこと。名門ワインエステートにふさわしい輝きを復活させようと、4人の新たな共同経営者が当時の最新農学技術に則った大規模投資を行なった。

鋼鉄製タンク、温度管理、広い作業スペースを備えた新しいワイナリーを建設。インフラを整え、カステッロ・ディ・アマをこの地域で最も先進的なワイナリーのひとつに押し上げると、さらに先鋭な個性と能力を備えた人物にワイン造りを託すことに。1982年、当時まだ若い農学者だったマルコ・パランティ氏を迎え入れ、妥協のない品質追求の道へと乗り出した。

1988年、創業パートナーの娘ロレンツァ・セバスティ氏が入社すると、二人の志は一致。パランティ氏はあらゆる研究を重ねてテロワールの魅力を最大限に引き出すことに専心した。そして、90年代以降、カステッロ・ディ・アマをキャンティ・クラシコの、ひいてはイタリアを代表するドメーヌのひとつとして高い評価を得るワイナリーへと導いた。

キャンティ・クラシコ最上級に格付けされる「サン・ロレンツォ キャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ」。ワイン・スペクテーターの2014年トップ100ワインで第6位の栄誉に輝いた

そうして名醸造家として名を馳せることになった、現オーナーファミリーのパランティ氏。長年キャンティ・クラシコ協会の会長を務め、この地域のワインの並外れた品質と多様性を際立たせることを目的とした”グラン・セレツィオーネ”カテゴリーの創設にも貢献している。

ワインと同じテロワールから生まれるアート作品

そんなパランティ氏が率いるイタリア屈指のワイナリーには、もうひとつの魅力的な側面がある。1999年にスタートした、アーティストたちに新たな表現の場を与えるアート・プロジェクトだ。独自のキュレーションのもと、他に先駆けて世界中から才能あるアーティストを招聘し、アマをワインのみならず、アートの宝庫として輝かせてきた。その様子はかつてルネサンスの時代に、トスカーナ大公国に君臨したメディチ家が芸術家の支援に多大に貢献したことを彷彿させる。

土地そのものがキャンパスとなったダニエル・ビュランによる作品「ブドウ畑:視点」

ワインと土地、革命への愛を表現する貯蔵庫に展示されたケンデル・ギアーズの作品「Revolution/Love」

パランティ氏のこだわりは、アーティストたちをワイナリーに招き、アマの文化とワイン、料理を存分に堪能した後に制作に取り組んでもらうこと。この土地を愛してやまない氏にとって、アマの豊かな自然と文化に触発されて生まれる作品は、ワインと同様「テロワールの表現のひとつ」なのだという。これまでに参加したアーティストはアニッシュ・カプーアや李禹煥(リ・ウーファン)、杉本博司など18名に及び、彼らの作品がブドウ畑をはじめ敷地内に点在している。そんな世界的に著名なアーティストたちの作品を、ワイナリーを訪ね、散策とテイスティングを楽しみながら鑑賞するのも刺激的だ。

目に見えないスピリチュアリティを表現するチェン・ゼンの作品「人間の体の内なる光」

マナーハウスに宿泊し、土地の息吹を感じる

18世紀に建てられた当時のままの魅力を残すマナーハウスに滞在

嬉しいことに、カステッロ・ディ・アマでは宿泊も可能だ。かつての貴族の館が当時の魅力を残して保存され、宿泊施設として訪問者を受け入れている。センス良くまとめられた5室の内装はそれぞれ趣が異なり、お気に入りを見つけるのも楽しい。滞在中は暖炉のある応接室など、館内を自由に利用し、あたかも自邸のように過ごすことができる。

同じ敷地内にはパランティ氏自慢のローカルな食材をふんだんに使ったレストランも。
眼前に広がる美しい景色を眺めながら、最高のワインと共にトスカーナ地方の美食を楽しむ時間は至福そのものだ。そうしてこのワイナリーでの滞在が、類ない感動に包まれていく。

花の都フィレンツェから車で約1時間。フィレンツェを訪れるならぜひ足を延ばして、土地への愛と情熱が結びついて生まれる極上のワインとアート、美食を心ゆくまで堪能してみてはいかがだろう。アマの土地が宿す歴史と豊穣なる恵みが、生涯忘れがたい記憶を残すはずだ。

カステッロ・ディ・アマ https://castellodiama.com/it/
ワインに関する問い合わせはエノテカへhttps://www.enoteca.co.jp

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