リシャール・ミル初の自動巻きスプリットセコンドクロノグラフ
2020年も魅力的な新作をいくつも発表してくれたリシャール・ミル。その締めくくり、ということもできるのだろうか。先の12月15日に、まったく新しい新作「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」を発表した。
「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」のいちばんの特徴は、モデル名が示すように、リシャール・ミルで初めてとなる自動巻きスプリットセコンドクロノグラフであることだ。
スプリットセコンドクロノグラフはラトラパンテとも呼ばれる、2本の計測針を備えた特殊なクロノグラフのこと。計測針の一方を「クロノグラフ針」、もう一方を「スプリットセコンド針」という。
クロノグラフをスタートさせると2本の針が同時に進行、計測途中にスプリットセコンド針だけを停止することができ、途中地点までの経過時間=スプリットタイムの計測などができる。また、スプリットセコンド針を再スタートすると瞬時にクロノグラフ針に追いつき、同様の計測を何度でも行うことができるのも大きな特徴。「ラトラパンテ」=「Rattrapante」とはフランス語で「追いつく」という意味だ。
スプリットセコンドクロノグラフは高度な技術を要する超複雑機構で、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターとともに「4大複雑機構」と称されてもいる。リシャール・ミルは、そんな超複雑機構のスプリットセコンドクロノグラフを、これまで何度も製作している。
まず、2003年にトゥールビヨンを併載した「RM 008 トゥールビヨン スプリットセコンド クロノグラフ」を発表。2004年に革新的新機構搭載の「RM 004 スプリットセコンド クロノグラフ」。2012年に超軽量ムーブメントの「RM 050 トゥールビヨン スプリットセコンド クロノグラフ フェリペ・マッサ」。2017年に世界最軽量に加え5000Gに耐える「RM 50-03 トゥールビヨン スプリットセコンド クロノグラフ マクラーレンF1」を発表した。
研究開発に5年の歳月を費やした最新鋭モデル
▲「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」
「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」はそれらの長所を受け継ぎつつ、まったく新しく開発された最新鋭モデル。研究・開発に5年を費やしたという。
その特徴のひとつが、前記した、リシャール・ミルで初の自動巻きスプリットセコンドクロノグラフであること。ムーブメントはリシャール・ミルのサプライヤーとしても知られるムーブメント開発のスペシャリストのヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエとの共同開発である。
3万6000振動/時=10振動/秒のハイビートにより優れた精度と1/10秒の正確な計測を実現。クロノグラフは6歯のコラムホイールを備えた垂直クラッチ式で精巧な動きをケースバックで眺めることができる。地板とブリッジはグレード5チタン製。新設計の可変慣性モーメントローターは、腕の動きが緩慢なときには巻き上げ速度が増し、動きが活発なときには巻き上げ速度が軽減して、効果的なゼンマイの巻き上げを可能とする。
▲地板とブリッジはグレード5チタン製。右下がテンプ。右上がコラムホイール。新デザインの自動巻きローターは中央がグレード5チタン製で、ウエイトはプラチナ製だ。
リュウズの先端のプッシュボタンをファンクションセレクターにした新しいシステムもヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと共同開発したもの。W=巻き上げ、D=日付調整、H=時刻合わせ、という3つの操作を切り替え可能のファンクションセレクターの搭載は自動巻きでは初。
▲リュウズにプッシュボタン式のファンクションセレクターを搭載。
▲4時位置の針でW、D、Hのファンクションの切り替えが表示される。
また、通常の自動巻きと手巻きに加えて高速巻き上げを新開発。8時位置のプッシュボタンにより素早くゼンマイを巻き上げることのできる独自機構で、完全にゼンマイがほどけた状態から、125回押すことでフルに巻き上げることができる。
▲8時位置のプッシュボタンを押すことでゼンマイの高速巻き上げが可能。
ダイヤルやリュウズやプッシュボタンを色分けしているのも目を惹く特徴。時、分、秒の表示=イエロー。クロノグラフの操作や表示=オレンジ。スプリットセコンド=ブルー。デイト=グリーン。巻き上げ=レッド。という5色に色分けすることで5つの機能の操作性と視認性とを高めている。
最先端素材のカーボンTPT®も大きな魅力
ケースはリシャール・ミルの人気素材のカーボンTPT®で、薄いカーボンシートを積層し切削加工したことによる独特の模様が大きな魅力。ストラップはラバー、ベルクロ、アリゲーターなど、さまざまな素材とカラーを用意している。
▲ケースバックでムーブメントの美しい仕上げと精巧な動きを覗き愉しむことができる。
そして何よりもうれしいのは、限定ではなく、レギュラーモデルであること。
とはいえ、貴重で特別なモデルであることは間違いのない事実。製作に時間がかかるため、我慢強く入荷を待たなければいけないだろう。そのため、気になる方は急ぎブティックに行くべき。それを強くおすすめしたい。
「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」
自動巻き、カーボンTPT®ケース、ケースサイズ:44.50×49.94×16.10mm、ラバーストラップ、50m防水。3260万円(税別)
問い合わせ先:リシャールミルジャパン
TEL.03-5511-1555
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