フランスと日本で注目されている竹田和真シェフと糸井章太シェフという最高の二人による、一夜限りの夢のスペシャルコラボレーションが実現しました。
現在公開中の映画『グランメゾンパリ』。その公開に合わせて制作された特別番組「極上のパリ旅へ」で、出演者3人が訪れたことで注目を集めているのが、竹田和真(ちくだかずま)シェフのお店です。この番組の舞台となったレストランNARROはパリ5区に位置し、コロナ禍の2020年に外出禁止令が解除されたタイミングでオープンしました。
しかし、わずか1ヶ月後に再び外出禁止令が発令。それでも、この1ヶ月間の口コミが広がり、2度目の外出禁止令解除後には瞬く間に予約の取れないレストランとして注目を集めました。
オープンから3年を待たずして、サンジェルマン=デ=プレに2号店「Baillotte」を、さらに昨年には3号店「Calice」をオープン。その勢いは止まるところを知りません。
竹田シェフの料理は「作品」とも言われ、一皿一皿がテロワール(風土)を反映しながらも、素材の調和を引き立てる独創的なものです。
現在、彼はNARROとCaliceのエグゼクティブシェフとして活躍中です。
一方、糸井章太(いといしょうた)シェフは、2018年に26歳で「RED U-35」の史上最年少グランプリ「レッドエッグ」を受賞。
その後、石川県小松市の「オーベルジュ オーフ(Auberge eaufeu)」にて、地元の豊かな食材を活かした独創的なフレンチを提供しています。糸井シェフの料理は、日本の伝統技術とモダンなフレンチの融合が特徴で、素材そのものの味わいを最大限に引き出すアプローチが高く評価されています。
パリ5区のNARROとCaliceのエグゼクティブシェフである竹田(ちくだ)シェフ(左)と、「RED U-35」で史上最年少グランプリ「レッドエッグ」を受賞した「オーベルジュ オーフ(Auberge eaufeu)」の糸井シェフ(右)による夢の共演。
夢のコラボレーションの詳細
お互いの料理を確認しながら、コース全体がひとつのハーモニーになるよう調整していく。初めてコラボする二人とは思えないほど息の合った連携は、まさにプロならではのものだろう。
1月24日、糸井シェフがCaliceに登場。竹田シェフとともに特別メニュー「Menu spécial ‘4 mains’」(特別メニュー「4つの手」)を作り上げました。この日のために糸井シェフは日本からソースや地元食材を持参し、日本の味をフランスで再現しました。
メニュー構成とペアリングワイン
アミューズ・ブーシュ
まずはラングスティーヌの仕込みに取りかかる糸井シェフ。
殻を取り除き、実だけに処理されたラングスティーヌを塩麹でマリネする。フランスではラングスティーヌを生で食べる機会が少ないため、この一皿だけでも十分なインパクトがある。
いよいよ、二人の共演の幕開けだ。塩麹でマリネしたラングスティーヌに、サザンカの花のヴィネグレットを添え、赤紫蘇の実を散りばめた、糸井シェフの一品目はまるで宝石。
糸井シェフ: 塩麹でマリネしたラングスティーヌにビーツと赤紫蘇を添えた一品。日本の発酵食品である塩麹を使い、繊細な味わいと彩りが特徴です。
竹田シェフのアミューズ・ブーシュには、歯ごたえと味のアクセントとしていぶりがっこを加える。
竹田シェフの一品目は、モンドールのタルトレット。ブルターニュ地方ロスコフ産のオニオンをキャラメリゼし、いぶりがっことともに、この小さなタルトの中に忍ばせている。ロスコフ産のオニオンは、甘みとコクが特徴で、加熱すると一層その風味が引き立つ。モンドールの濃厚なクリーミーさと調和し、いぶりがっこのスモーキーなアクセントが味わいに奥行きを加えている。
竹田シェフ: フランスの冬の味覚モンドールを使ったタルトレットに、キャラメルオニオン(ロスコフ産)、いぶりがっこ、ヘーゼルナッツを加えた一品。日本の燻製文化を取り入れながらも、フランス食材との融合を図った料理です。
ペアリング: Mélaric「MYRIADES 2021」
ロワール地方のオーガニックワイナリーMélaricによるスパークリングワイン。フレッシュで華やかな果実味とクリスプな酸味が、アミューズの複雑な風味を引き立てます。
冷たい前菜
昆布締めにしたホタテを藁で燻製にする竹田シェフ。
昆布締めにしたホタテを燻製し、カリフラワークリームの上に敷き詰める。そこに、だしのジュレとキャビアを添え、繊細な旨味を引き立てる。
竹田シェフ: 昆布締めホタテを燻製し、だしジュレ、シークワーサーのヴィネグレット、カリフラワークリーム、キャビアを添えた一皿。日本の技術である昆布締めと、だしの旨味を取り入れたフランスと日本の融合の一皿です。
温かい前菜
ここCaliceでは、フランスでは珍しい備長炭を使用した炭火焼きが特徴のひとつでもある。今回は、糸井シェフの鹿料理に藁を燃やして香りをまとわせ、さらに奥深い風味を引き出していく。
ローストした鹿ロースを盛り付ける糸井シェフ。Caliceはオープンキッチンのため、その様子をテーブルから楽しむことができる。
ソテーしたラディッキオを土台に、干し草でローストした鹿ロースをのせる。そこに、糸井シェフの祖母の味である柚子味噌を合わせる。
糸井シェフ: 干し草でローストした鹿ロースのタタキをラディッキオと柚子味噌で仕上げました。鹿肉の繊細な風味に合わせた柚子味噌が、和洋の調和を感じさせます。
ペアリング: Sagesse des Sols「Velours」
ロワール地方の古代品種Pineau d’Aunisを使用した赤ワイン。スパイシーで滑らかな口当たりが特徴で、鹿肉の風味を引き立てます。
メインディッシュ
メインの魚は、糸井シェフが1週間熟成させたスズキ。
1週間熟成させたスズキを備長炭で焼き、ジェニパーベリーを加えた発酵キャベツのシュークルートを添えている。
糸井シェフ: 1週間熟成のスズキを備長炭で焼き、シュークルートと合わせた一皿。炭火の香ばしさとシュークルートの酸味が絶妙なバランスを作り出しています。
ペアリング: Domaine des Correaux「Le Petit Germain」
ブルゴーニュ地方のシャルドネ100%の白ワイン。ドライでフルーティー、心地よい酸味が魚料理に完璧に寄り添います。
竹田シェフのメインはブレス鶏。一羽ずつシリアル番号が与えられたブレス鶏の中でも最高級のモノを使用している。
肉料理はブレス鶏。それに合わせて、セロリアックを薄くスライスし、皮の代わりに使用。ヴァンジョーヌで香り付けしたキノコを包んだ“ラビオリ”が添えられる。
竹田シェフ: ブレス鶏を備長炭でグリルし、ヴァンジョーヌで香り付けしたキノコをセロリアックのラビオリで包んだ一皿。
ペアリング: Le Clos des Jarres「Attraction」
南フランス・ラングドック地方の赤ワインで、ピノ・ノワールとプティ・ヴェルドのブレンド。赤果実の香りと上品なタンニンが、鶏肉とヴァンジョーヌの香りを一層引き立てます。
デザート
クライマックスを迎えたコースは、いよいよフィナーレへ。プチ・デザートには、見た目にも美しいヴァシュランが登場する。
そして、最後を飾るのはチョコタルトレット。提供直前に温められ、とろけるチョコレートとタヒチ産バニラアイスを一緒に味わうことで、このコースは華やかに締めくくられる。
シェフ・パティシエ赤澤香里氏: 柑橘類をふんだんに使ったプレ・デザート「ヴァシュラン」、焙じ茶とチョコタルトレットにタヒチ産バニラアイスを添えたメインデザート。
ペアリング: 農口尚彦「Premium Nouveau」
日本酒の巨匠・農口尚彦による新酒。フルーティーな香りとほのかな甘みがデザートの余韻を引き立てました。
実際に料理が仕上がっていく中で、ペアリングするワインを決めていく。まずはレストランのソムリエが用意したワインを基に、シェフたちが最適な組み合わせを探る。写真は準備段階のもので、最終的には別のワインに変更された。
このコースは、ただそれぞれの料理を並べたのではなく、二人のシェフがそれぞれの感性や技術を持ち寄り、個性が1つのメニューに調和するように作り上げられたものでした。繊細な味覚と大胆なアプローチが織り成す料理の数々は、互いのアイデアが共鳴し合う特別な体験を来場者に届けました。
二人は、まるで何度も練習を重ねたダンスのように、厨房で舞うような動きで料理を作り上げていく。
竹田シェフと糸井シェフのコラボレーションは、二人の個性が見事に調和した一夜限りの特別なディナーとなりました。ファッションウィークという特別なタイミングも相まって、多くの来場者がこのイベントを堪能。フランスと日本、それぞれの文化と技術が融合したこのディナーは、二人のシェフの可能性を感じさせるだけでなく、今後の展開への期待を大きく高めるものでした。
竹田シェフ:Youtube : https://www.youtube.com/@parischiku
インスタ: https://www.instagram.com/chikuda_kazuma/
Restaurant eaufeu : https://eaufeu.jp/cuisine/
糸井シェフ:インスタ https://www.instagram.com/shota__itoi/
赤澤香里:インスタ https://www.instagram.com/kaori_akazawa_patissiere/