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心躍る情景から生き方を読み取る―――待望のデイヴィッド・ホックニー展開催

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2023年7月15日(土)から11月5日(日) まで、東京都現代美術館にて、現代で最も革新的な画家のひとりであるデイヴィッド・ホックニーの個展が開催されます。日本では27年ぶりとなる大規模な個展となり、代表作とともに初公開作品も多数来日予定です。

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新たな美術表現を模索し続ける86歳の生きるレジェンド

デイヴィッド・ホックニーは1937年、イングランド北部のブラッドフォードで生まれ、同地の美術学校とロンドンの王立美術学校で学びました。1964年、27歳の時にロサンゼルスに移住し、西海岸の陽光に溢れた情景を描いた作品で一躍脚光を浴びます。60年以上に渡り、美術表現の可能性を探る試みを続け、現在はフランスのノルマンディーを拠点にし、作品を発表し続けています。2017年に開催された生誕80年を記念した回顧展は、ロンドンのテート・ブリテン、パリのポンピドゥー・センター、ニューヨークのメトロポリタン美術館を巡回し、テート・ブリテンでは同館の記録となる約50万人が来場するなど、現代を代表するアーティストのひとりとしてその名を確立しています。

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日本では27年ぶりとなる大規模個展

デイヴィッド・ホックニーの国内の美術館における大型個展は、1996年以来、実に27年ぶり。欧米を中心に個展が相次いで開催され、ロンドンやパリの個展では、50万人以上もの来場者数を記録するなど、世界で最も人気のある作家のひとりです。本展は多数の代表作が来日し、60年以上におよぶ画業をたどることから、日本におけるこれまでで最も充実したホックニー展となることは間違いありません。

本展では、ホックニーの故郷、イギリスのヨークシャー東部で2011年に制作された、幅10メートル、高さ3.5メートルの油彩画《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年》(2011)が日本で始めて公開されます。他にも日本初公開となる大判サイズのiPad作品や、コロナ禍で制作された全長90メートルの新作や、世界初公開となる自画像など、見逃せないラインナップとなっています。

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8章で紡がれたストーリーでホックニーの軌跡を描く

1959年、ホックニーはロンドンの王立美術学校に入学。抽象表現主義やポップ・アートが欧米の美術を席巻していた当時、さまざまな様式や作家たちに学び、その影響を作品に反映させる一方で、特定の動向に与することなく自らの表現方法を切り開き、時代の寵児として注目を集めることになるのです。

その後1964年にロサンゼルスに移住したホックニーは、カリフォルニアの開放的な空気のもと、明るい日差しが降り注ぐプールの水面やスプリンクラーの水しぶきなどを描きます。こうした刻々と変化する光の反射や水の動きをいかに捉えるかという造形上の試みは、ホックニーの関心を掻き立て、新たな画材を取り入れ、さまざまな描写の探求につながりました。

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ホックニーはまた、多くの肖像画を手掛けています。代表作《クラーク夫妻とパーシー》(1970-71)のように、「ダブル・ポートレート」と呼ばれるふたりの人物が描かれた構図は、ホックニーの肖像画を代表するスタイルです。描かれるのは、家族や恋人、友人といった親しい関係の人々で、これらの肖像画からは、目の前にいる相手をじっと見つめ、描かれる人物の内面までとらえようとする画家の静謐な眼差しをうかがうことができます。

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そして本展の後半部分で展示される作品は、すべて日本初公開の作品。1997年からおよそ15年間、ホックニーは幼少期に慣れ親しんだイギリス・ヨークシャー東部の自然や景色を抒情的に描きました。破格の大きさを誇る油画《ウォーター近郊の大きな木々またはポスト写真時代の戸外制作》(2007)は、タイトルが示すように複数のカンヴァスを戸外に持ち出し、自然光の下でモチーフとなる木々を前にして制作されました。

また、2010年4月の発売と同時に入手したタブレット型端末iPadは、ホックニーの創作に新境地を開きました。大型の油彩画とiPadドローイングで構成される〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年〉シリーズは、日ごとに劇的な変化を遂げる世界と向き合い、克明に描ききったホックニーの卓越した力量を物語っています。

2019年、フランス北西部のノルマンディーに拠点を移した後、covid-19の予期せぬ感染拡大により世界中が一時停止するなか、辺境の地にいたホックニーはその影響をほとんど受けることなく、周辺の自然や季節の移ろいを真摯に見つめ続けました。《ノルマンディーの12か月 2020-2021年》(2020-21)は、そんなコロナ禍に制作された大作で、全長90メートルにも及びます。本展ではその一部を展示。作家の視線の先に広がる身近な日常をひたむきに描きとめ、それらを他者と惜しみなく分かち合おうとしてきたホックニーの創作の歩みを垣間見ることができる作品です。

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2023年に86歳を迎えてなお、一層制作に打ち込み、自らの芸術性を刷新し続けるホックニー。本展では、60年以上にわたり現代美術の第一線で活躍し、新作を発表し続けるホックニーの「今」を表現します。コロナ禍で制作された作品には、国や文化、世代の違いを越えて、同じ時代を共有している私たちが、平等に感じ取ることができるメッセージがあるはずです。パンデミックを経た今、新しい日常を生きる現代人にとって、もう一つのパースペクティブに気づく貴重な機会になることでしょう。

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『デイヴィッド・ホックニー展
会期:2023年7月15日(土)- 11月5日(日)
休館日:月曜日(7/17、9/18、10/9は開館)、7/18、9/19、10/10
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F
観覧料:一般 2,300円、大学生・65歳以上 1,600円、中高生 1,000円、小学生以下無料
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/hockney

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