アルマーニ / リストランテの「サステナビリティ」メニュー


サステナブルな食材が主役の、クリエイティブなイタリア料理


料理を通じて環境問題に取り組むリストランテ
環境問題に対して高い意識を持つデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏が監修する「アルマーニ / リストランテ」は、東京・銀座のモダンなイタリアンレストラン。昨年は通常のコースに加え、フードロスバンク協力のもと規画外の食材などを主役としたコース「ロスフードメニュー」を提供して注目を集めた。そのコースに使われた規格外の食材は、“食品ロス削減から始まる環境改善”を目指す企業「フードロスバンク」を通じて仕入れたもの。品質に問題はないのに廃棄される予定だった食材だ。そうした食材で作られた料理は、見た目も味も通常の料理と変わらず、SDGsにも貢献できると大好評。エグゼクティブシェフのカルミネ・アマランテ氏も、このコースを始めたことがきっかけで日本の農業や食材、地球環境に対する関心を深めたという。そこでカルミネシェフが再びフードロスバンクとタッグを組んで作った新メニューが「サステナビリティ」だ。


持続可能であることを意識した生産者の食材
今年5月にスタートした新メニュー「サステナビリティ」は、食に対して社会が抱えるさまざまな問題に焦点を当てた内容。アミューズからデザートまでの6品に使われる食材は、食品廃棄の問題だけでなく、農業や漁業のあり方が“持続可能”であることも意識してセレクトされている。たとえばアミューズは、化学肥料を使用せず、畑に無理のない輪作栽培を行なっている「NOTO 高農園」(石川県)の野菜を 20 種類以上使ったサラダ。「NOTO 高農園」の野菜は、以前から有名シェフの間で人気の農園だ。アミューズに使われる野菜の種類は日によって異なるが、どの野菜も箸でつまむと“ハリ”が伝わってくるほど新鮮。パセリを使った「サルサヴェルデ」ソースを絡めて味わうと、豊かな香りに気持ちが満たされる。


お国自慢のプライドフィッシュを活かした魚料理
前菜のハマチとメインの鰆は、生態系を守ることを意識した“定置網漁”で水揚げされたもの。通常の網漁では需要が少ない魚も獲れてしまうため、市場に出回らない「未利用魚」が生まれやすいが、“定置網漁”では需要の少ない魚を取らないように工夫することもできる。初夏の「サステナビリティ」メニューの前菜とメインに使われる魚は、そうした“定置網漁”で獲られた魚だ。
また、「サステナビリティ」メニューには「サポート」を軸とした3つのテーマもあり、食材選びの背景には「フードロス⾷材のサポート」「地⽅のサポート」「⽇本⽶のサポート」という視点もある。カルミネシェフが今回の初夏のコースのメイン食材を全て北陸産のもので統一したのは、「ひとつの地域で手に入る食材の豊かさ」を示し、地方のパワーと可能性を表現するため。前菜のハマチとメインの鰆は、どちらも福井県の“プライドフィッシュ(各都道府県の漁師が自信を持って推奨する魚介類)”だ。中心部をミディアムレアに焼き上げた鰆は、ふっくらとジューシーで旨み豊か。カルミネシェフがかつて高知県でインスパイアされた “鰹の藁焼き”に通じる、炭火と藁の心地よい香りも楽しめる。その鰆の下には、アスパラガスの切れ端でとった出汁にエシャロット、ポロネギ、クレソンを合わせたソースも敷かれている。食材の活かし方からも、繊細な火入れからも、シェフの探求心が伝わってくる一皿だ。


新潟県産米のロスを防ぐために生まれた「れすきゅう米」
「サステナビリティ」メニューの前菜とメインの間には、「⽇本⽶のサポート」というテーマに基づくリゾットが登場。このリゾットに使われるのは、新潟県産米を厳選して配合した「れすきゅう米」だ。リゾット作りには本来はイタリア産の米の方が適しているが、カルミネシェフは新潟県産米のロスを防ぐべく、敢えて「れすきゅう米」を使用することにしたのだとか。「『れすきゅう米』は日本の米の中ではリゾットに適している方ですが、理想のリゾットに仕上げるまでには試行錯誤しました」。そう語るカルミネシェフが初夏のコースで提供するのは、故郷ナポリの伝統的なパスタ「パスタ エ ピゼッリ」にヒントを得たという「スナップえんどうのリゾット」。本来は捨ててしまう野菜の切れ端から取った出汁で「れすきゅう米」をアルデンテに炊き上げ、グリーンピースのピューレ、パルメザンチーズを絡めたリゾットだ。中央のトッピングは、オーガニック卵のポーチドエッグ。突つくとソースのように流れる半熟の黄身は、シェフが日本の「卵かけご飯」にインスパイアされて考えたもので、45度のお湯に2時間入れて作っているという。リゾットを囲むように盛り付けられたパルメザンチーズのソースとスモークしたスナップえんどうを合わせて味わうと、まろやかなハーモニーに心が和む。


規格外のフルーツを活かしたデザート
デザートは福井県産“とみつ金時”のアイスクリームとベルガモットのシャーベットを合わせたアイスキャンディと、石川県の紅ほっぺと福井県産の黒龍の酒粕を使用した「いちご 酒粕」。アイスキャンディは、形や大きさの理由で通常のルートでは出荷できない“とみつ金時”のペーストを使用したもの。“とみつ金時”は、土壌環境のために3年に1度休耕地を作り、クロタラリア(豆科)を植えて土壌の活力維持に努めている農業法人フィールドワークスで作られたものだ。2品目のデザート「いちご 酒粕」は、形が理由で出荷できなかった苺のピューレのシャーベットを、酒粕のジェラートと共にフレッシュな苺のスライスで包んだもの。苺はマイクロ水力発電の電力を使用して地域と共生している「いちごファームHakusan」のものが使用されている。

「『サステナビリティ』コースでは、今後も季節ごとに日本の異なるエリアをピックアップし、各地方の魅力的な食材を発信していきたい」とカルミネシェフ。日本の地方が持つ産地としてのパワーを感じつつ、食事を通じてSDGsにも貢献できるコースを、ぜひ体験してみてほしい。

アルマーニ / リストランテ
東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー 10F&11F
TEL.03-6274-7005
営業時間:火曜〜日曜 ランチ11:30〜15:00(ラストオーダー14:00)、ディナー18:00〜23:00(ラストオーダー 20:00)
定休日 月曜日
「サステナビリティ」メニュー(ランチ・ディナー共通)¥12,000
http://www.armani-ristorante.jp

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