「イル・カヴァリーノ」が長い歴史を経てリニューアル
始まりは、フェラーリの社員食堂。ファクトリーが建つ小さなエリアにあった小さな農家が、社員食堂として使われていたのだが、それがやがてフェラーリの歴史を彩るレストランへと生まれ変わり、そして今年、界を彩るレストランとして、さらに生まれ変わった。
フェラーリを象徴するレストラン「イル・カヴァリーノ」が、世界的に有名な料理人マッシモ・ボットゥーラと、さらには建築家インディア・マダヴィの協力を得て、リニューアルオープンを果たしたのである。マラネッロのファクトリー入口にある「イル・カヴァリーノ」。今日はその魅力を掘り下げてみたいと思う。
フェラーリの歴史を支えるレストラン
正式に名付けられたのは1950年。「「イル・カヴァリーノ」は、フェラーリの歴史の象徴であり、証人であり、主人公だ」自身のHPでこう紹介するほどであり、長いブランドの歴史と密接に関わっているということは、容易に想像してもらえることだろう。フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリは、このレストランでゲストや友人、そして親しい協力者たちと昼食を取るのが大好きだったそうだ。オランダのベルンハルト王子、ベルギーのリリアン・レティ公爵夫人、そして3度の世界チャンピオンに輝いたジャッキー・スチュワートなど、数々の世界的著名人たちがその椅子に座ってきた。
そして特筆すべきは、フェラーリの歴史を左右する出来事も、このレストランと共にあったということだ。1981年、バーニー・エクレストンとジャン=マリー・バレストルが、F1世界選手権の規則となる「コンコルド協定」に署名したのも、そして彼らがエンツォ・フェラーリと共に、レースの新しいルールについて話し合いをしたのも、全てはこのレストランだったのだ。フェラーリのパワフルなビジョンに、50年以上もの間、インスピレーションを与え続けてきたのである。
歴史を感じながら食事を
食事を摂ることができる部屋は、2つある。まずは「メインルーム」。この部屋は、フェラーリファンなら一度は入ってみたいと思う部屋なのではないだろうか。F1の写真や記念品が、所狭しと並べられているのである。Scuderiaの歴史年表が書かれた大きなポスター然り、2019年のイタリアGPで、シャルル・ルクレールが優勝した時に実際乗っていたマシンのフロントウイング然り。普段では見ることができない代物が、このレストランでは見ることができる。跳ね馬がモチーフになっている壁紙も、気分を高めてくれること間違いなしだ。そして、これだけ派手な演出をしていながら、圧迫感を感じないのが、このレストランのいいところだ。天井の大きなアーチや、計算されたテラコッタの床が、しっかりと奥行きのある空間を演出。フェラーリの歴史を楽しみながら、ゆったりと落ち着いて食事をすることができる。
最高の料理エンターテインメント空間
そしてもう一つは「グリルルーム」。メインルームと屋外エリアの間に位置し、壁に最新技術を駆使したグリルシステムが設置されているのだ。料理を作っている様子を見ながら食事できる、エンターテインメント空間と言えるだろう。窓から見える屋外のパティオや四季折々の植物たちも、食事のいいスパイスとなってくれる。
天才シェフが提案する料理とは
そんなレストランの料理を監修するのは、モデナ出身のシェフ「マッシモ・ボットゥーラ」。イタリア料理の巨匠と言われている人物だ。彼がシェフを務めていたレストラン「オステリア・フランチェスカーナ」は、ミシュランの3つ星を獲得しただけでなく「世界のベストレストラン50」で、2度も1位に輝いた。これはなかなか叶えることができない偉業であり、そのため2018年には殿堂入りを果たしたほどだ。そんな天才シェフの彼が、伝統あるイタリア料理の技術やエッセンスを取り入れた料理を提案する。中には、エンツォ・フェラーリの妻リナ・ナルディの得意料理だった「マッケロンチーニ・イン・サルサ・ローザ」もラインナップされるという。ボットゥーラの独自解釈で仕上げられたというから、どんな仕上がりになっているか、興味がそそる。
イタリアで行くべきレストラン候補に
フェラーリ好きのみが行くべきレストランだと、侮ることなかれ。料理や空間が、あなたをラグジュアリーかつ、至福の時間へ誘ってくれること間違いなしだ。イタリア旅行が復活した際は、ぜひラインナップに入れてみてはいかがだろうか。
イル・カヴァリーノ
https://www.ferrari.com/ja-JP/ristorante-cavallino