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色褪せることなく刺激を与え続ける唯一無二のクリエイター——「石岡瑛子 I デザイン」展開催中


デザイナーであり、アートディレクターとして人々に新しい価値観を提示し、広告や舞台、映画など、多岐にわたる分野で活躍した石岡瑛子の展覧会が開催されています。資生堂やPARCOの広告などの活動前半に手掛けた作品を中心に、500点もの作品を公開。本展は伝説のクリエイターの仕事の本質に迫るとともに、その創造の核となった「I=私」を浮き彫りにする展覧会です。

石岡瑛子の作品の本質に迫る展覧会

「あゝ原点。」PARCO ポスター (1977)

石岡瑛子は、広告をはじめとして、舞台美術や衣装デザインなど、幅広い分野で世界的に活躍したデザイナー。没後10年を経て、改めてそのクリエイティビティーに世界中から注目が集まっています。本展では常に革新的なビジュアルとメッセージを発信し続けた瑛子のデザイン哲学と、彼女が表現者として生涯にわたって磨き抜いた自分力に焦点を当て、現代に生きる我々をエンパワーする石岡瑛子の世界を体感できる展覧会となっています。

社会の起爆剤となる挑戦的なメッセージ

「女性よ、テレビを消しなさい 女性よ、週刊誌を閉じなさい」角川書店ポスター(1975)

「西洋は東洋を着こなせるか」PARCO ポスター (1979)

デザインによって人々に新しい価値観を提示した石岡瑛子。1966年の広告「太陽に愛されよう 資生堂ビューティケイク」では、当時高校生だった前田美波里を起用し、それまでの紋切り型の美人像を一新し、生命力にあふれ、自分の意志をもった女性像を打ち出しました。
さらにPARCOのキャンペーンでは、性別や人種の枠組みを打ち破り、「女たちよ、大志を抱け!」、「裸を見るな。裸になれ。」など鮮烈なメッセージを展開。挑戦的なコピーとビジュアルは話題となり、「石岡瑛子といえばパルコ」、「パルコといえば石岡瑛子」と語られたといいます。

情熱が伝わる校正紙

本展の意外なみどころのひとつが校正紙です。仕事において妥協を許さず、完璧な仕上がりを求めた瑛子は、クリエイターやスタッフと対話を重ね、時には軋轢も辞さず、活発な議論をかわしたといいます。そんな瑛子の情熱を示すのが色校正です。校正紙にびっしりと書き込まれた修正指示は、彼女の体温や生の感情を感じ取ることができる貴重な資料。細かく厳しい指示に恐れおののく人や、パッションに満ちた書き込みに感動する人が続出する必見の展示物です。

クリエイターたちとの化学反応

石岡瑛子は多くのクリエイターとコラボレーションしました。名匠フランシス・フォード・コッポラが手掛けた映画『地獄の黙示録』(1979)のポスターデザインを担当し、1992年の『ドラキュラ』では衣装デザインに携わり、”今まで見たことのない表現”を追求しました。コッポラは瑛子が手掛けた衣装を「型破りで、新鮮で、独特」と称賛し、瑛子はアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞するに至ります。

1幕から5幕まである展覧会の見どころ

展覧会は、東京藝大を卒業し、資生堂宣伝部でデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたところから幕を開けます。
続く第2幕は、1970年にフリーランスとなり、渋谷パルコのキャンペーンを担当した時代。新しい時代の象徴としてパルコのブランドイメージを構築していきます。
3幕では、広告以外の仕事を取り上げます。学生時代のデッサンや、日宣美の出品作などから、瑛子がどのように表現力を身につけていったかを感じることができるでしょう。
さらに、4幕ではブックデザインにフォーカスします。単行本、定期刊行物、教科書など表面的なデザインだけではなく、内容にまで関わるアートディレクターの真髄をみることができます。
最後は、エンタテインメント分野におけるグラフィックデザインについてです。映画や音楽アルバムなど、幅広いジャンルにおけるデザインの真髄をみてとれます。

会期:2024年4月27日(土)〜2024年7月7日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日
主催:茨城県近代美術館
会場:茨城県近代美術館
入場料:一般1000円、満70歳以上500円、高校・大学生730円、小中学生370円
(20名以上の団体料金あり、土曜日は高校生以下無料、障害者手帳・指定難病特定医療費受給者証等を持参の方は無料)

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