イタリアの名建築家、ジオ・ポンティの名作を復刻
1934年にイタリアで創業した高級家具ブランド モルテーニから、初のアウトドアコレクションが登場した。コレクションは自然界にすっと溶け込む穏やかな品性と、控えめなエレガンス、職人技が光る優れた機能性が特徴で、アウトドアの開放的な空間に心地よい安らぎをもたらす。まとめあげたのは、ベルギー生まれの建築家で、同社のクリエイティブディレクターを務めるヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンだ。
表情豊かなコレクションは、5つのテーマで構成されている。なかでもイタリア・ミラノ出身の著名な建築家 ジオ・ポンティが手掛けた代表作に現代の息吹を吹き込んだHeritageコレクションが話題だ。1954年、カラカスの「ヴィラ・プランチャート」(1953-57)のためにデザインした作品が、アウトドア用バージョンとして蘇ったのだ。貝殻を思わせるアームチェアD.154.2 は、優美な曲線を描く背もたれのフォルムと、ソフトな張り地を備えた座面との絶妙なコントラストが美しい。
さらに1952年に、ジオ・ポンティが豪華客船のためにデザインした無垢材のシェーズロング D.150.5 も復刻。「夢に見て」デザインしたという逸品は、ポンティの豪華客船プロジェクトの代表作のひとつであり、アンドレア・ドリア号のために多面的なクリエイティビティを発揮したポンティの創造性にオマージュを捧げている。
チーク無垢材を採用することで、家具職人の熟練の技が際立つシェーズロング。異なるパーツ(バックレスト、シート、アームレスト、フットレスト)をひとつにまとめた連続的なサイドデザインが特徴的で、一目で優れた機能性が見て取れる。また、シートとバックレスト間の角度は、ジオ・ポンティが私邸のアームチェア用に書き残したメモの規定に正確に基づいている。
イタリアの美学と伝統が宿る
さらにイタリアのものづくりの伝統とクラフツマンシップ、時代を超える普遍的なスタイルとが融合したLandmarkコレクションには、モルテーニのデザイン文化に献身的に寄与したデザイナー、ルカ・メダの名作ソファへのオマージュ作品も。
ソファ PALINFRASCA のユニークな形状は、ルカ・メダが手掛けた1994年の作品に敬意を表して着想を得たものだ。チーク材の特質を活かし、前衛的な手法で扱っているだけでなく、1934年の創設以来、90年に及ぶ歴史の中で培われたモルテーニのサヴォアフェールと素材研究の成果を余すところなく表現している。
無垢材のフレームが描く緩やかな曲線は、素材のシルキーな滑らかさと相まって柔らかな印象を与える。バックレストの「ウィービング」モチーフは、地中海の伝統工芸のひとつ、自然素材による手編みを連想させる。塗装仕上げの金属ロッドに、縦糸と横糸のモチーフを編み込み、外観に独創的でモダンな趣を与えている。
柔らかな曲線を描くバックレストはチーク材、またはオリーブグリーンのEVAポリウレタンによるウィービングから選べる。どちらも庭の風情に美しく馴染み、後者はレザー風で、柔軟性がありながらも変形しない、アウトドアに適した耐塩性と耐候性を兼ね備えている。
端正で機能的な逸品の数々
一方、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンが一からデザインしたTimeoutコレクションは、ミニマルでコンテンポラリーな外観が洗練を極める。焼付塗装されたアルミニウムのフレームがリボンのようにシルエットを縁取り、角に丸みを与えて、シート、アームレスト、脚を一筆書きのような流れで繋ぐ。サイドから見ると、ほっそりと軽やかな脚が印象的だ。
コレクションはどれも端正で美しく、間違いなく機能的なアウトドア家具の傑作と言える。均整のとれたデザインは安定感があるだけでなく、主張し過ぎない色彩と共に庭の自然と心地よく馴染み、室内外をシームレスに繋ぐ。
夏の避暑地の別荘に、あるいは自邸の秋の庭先に、モルテーニのアウトドアコレクションをさりげなく置いてみてはいかがだろう。見て触れる者に快適さと、穏やかな安らぎをもたらしてくれるはずだ。
モルテーニ東京
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