リシャール・ミルの自社開発クロノRM 72-01は、見どころ目白押し!

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10月19日(火)17:00(フランス時間)に、昨年発表した自社製ムーブメントを搭載した「RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ」のブラックセラミックスとホワイトセラミックスを採用した2種類が仲間入りしました。改めこのモデルの魅力や注目点を時計専門誌「クロノス日本版」編集長、広田雅将さんと、リシャール・ミルのアフターサービスを担当する本社公認の時計技術者、竹中茂喜さんにご紹介していただきました。
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世界には優れたクロノグラフが多くある。しかし、時計業界の常識を覆すようなモデルは決して多くない。リシャール・ミルのRM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフは、その例外のひとつ、と言えるだろう。

リシャール・ミルがあえて自社開発クロノグラフを作り上げた理由

普通のクロノグラフは、9時位置に秒針、3時位置に30分積算計、そして6時位置に12時間積算計を持つ。12時位置に30分積算計を備えるものもあるが、基本的なレイアウトはこのふたつしかない。対してRM 72-01は、2時位置に60分積算計、5時位置に24時間積算計を備えている。普通のクロノグラフに比べて、表示できる計測時間は倍。しかも、それぞれの積算計が大きいため、倍の計測時間を表示できるにも関わらず、むしろ読み取りやすくなっている。初の完全自社製フライバッククロノグラフを作るだけでなく、かつてない表示とレイアウトを加えたリシャール・ミル。自社で作るからには、それなりの理由があるのだ。

なぜ、かつてない表示とレイアウトを実現できたのか?

今までのクロノグラフが、RM 72-01のようなかつてない表示とレイアウトを持てなかった理由は、メカニズムの制約が大きかったためである。ほぼすべての機械式クロノグラフは、普通の時計を動かす動力源から、クロノグラフ、つまりストップウォッチを動かす動力も取っている。動力を切り分ける鍵が、クラッチと言われる部品だ。自動車に同じく、クラッチを繋げばクロノグラフが動き、クラッチを外せば、クロノグラフは止まる。このクラッチが、機械式クロノグラフの足かせとなってきた。
長らく、多くの機械式クロノグラフが採用してきたのは、水平方向に動いて動力をつなぐ「水平クラッチ」である。これはムーブメントを薄くできる反面、横にスペースを取ってしまう。対して、ほとんどの新しい機械式クロノグラフは、厚みは増すが、横にスペースを取らない「垂直クラッチ」を載せるようになった。主な理由は、ムーブメントの上にスペースを捻出するため。クラッチが小さくなれば、大きな自動巻きを載せることができる。

小型化の切り札、ダブルスイングピニオン

対してRM 72-01は、あえて古典的な水平クラッチを選び、しかもその中で、さらにコンパクトな「スイングピニオン」を採用した。これは、回転する歯車を斜めに倒して、歯車を連結させるというシンプルなもの。昔のクロノグラフに見られたメカニズムを、まさかリシャール・ミルが採用するとは、誰が想像しただろう?しかも、RM 72-01が選んだのは、ふたつのスイングピニオンを持つ「ダブルスイングピニオン」だった。その結果、RM 72-01のムーブメントは、かつてない表示とレイアウトを実現できただけでなく、自動巻きクロノグラフらしからぬ薄さを持つようになった。

軽いクラッチが、フライバック化を可能にした

スイングピニオンには、もうひとつのメリットがある。クラッチ自体が軽くて小さいため、RM 72-01は無理なく”フライバック化”ができたのである。クロノグラフを止めることなくリセットできるフライバックは、パイロットやレーシングドライバーには欠かせない機能だ。しかし、リセットのたびにクラッチを切り離す必要があるため、クラッチが重いと壊れやすくなる。対してRM 72-01のコンパクトなダブルスイングピニオンは、小さく軽いため、無理なくフライバック化できたのである。スイングピニオンのメリットを生かして、フライバック化したクロノグラフは他にもある。しかし、すべてのクラッチをスイングピニオンに変えたものは、RM 72-01しかない。

クロノグラフを使っても、パワーリザーブは変わらない

もうひとつ、RM 72-01の知られざる美点を挙げておきたい。それが「長い」パワーリザーブだ。普通の機械式クロノグラフは、クロノグラフを使うとパワーリザーブが短くなる。余分な力をクロノグラフに取られるためだ。対してクラッチが軽く、抵抗の小さいRM 72-01はクロノグラフを作動させてもさせなくても、パワーリザーブは同じ50時間である。また、抵抗が少ないため、クロノグラフを動かした状態でも高い精度を維持できる。薄さに加えて、かつてない表示と、使えるフライバック機構、そしてクロノグラフを作動させてもパワーリザーブが変わらないという特徴を持つRM 72-01。説明を聞けば納得だが、意外なことに、RM 72-01以前に、ダブルスイングピニオンを採用したメーカーは存在しなかった。常識に挑み続ける、リシャール・ミルならではのメカニズムと言えるだろう。もちろん、リシャール・ミルであるから、ケースやムーブメントの仕上げは言うまでもない。
世の中には多くの優れたクロノグラフがある。しかし、高い視認性と実用性を持つRM 72-01は、使えるクロノグラフを探している人にとって、最良の選択肢のひとつ、となるに違いない。ちなみに、リシャール・ミルは、本作ではあえて新素材を打ち出していない。しかし、リシャール・ミルの作る時計が、なんであれ、そもそも普通であるはずがないのである。

 

文・広田雅将(ひろた・まさゆき)
1974年、大阪府生まれ。時計ジャーナリスト。『クロノス日本版』編集長。国内外の時計専門誌・一般誌などに多数執筆。時計メーカーや販売店向けイベントなどで講演するなど幅広く活躍している。

リシャール・ミル アフターサービス 時計技術者がみるココに注目!

RM 72-01の注目ポイントは、なんといってもリシャール・ミル初の自社開発のフライバッククロノグラフです。このキャリバーでは、特許を取得したダブルスイングピニオンを採用しています。このダブルスイングピニオンについて紹介したいと思います。
スイングピニオンとは、クロノグラフ機構においてトルクの伝達を担うパーツで、上下にピニオン(小型の歯車)を備えます。クロノグラフのオンオフに合わせてピニオンが傾くことで、秒積算の歯車に接続し、クロノグラフの積算がスタートします。通常のクロノグラフでは、秒積算から分積算を動作させます。つまり60秒ごとに1分のカウントアップを行う仕組みになっています。このシステムはカウントアップの際にトルクを多く使用するため、精度の大きな変動を引き起こしてしまったり、ゼンマイの巻き上げ残量が少なくなっている場合には止まってしまうことがあります。
一方、RM 72-01ではダブルスイングピニオン(2つのスイングピニオン)を採用することにより、時間、分、秒の3つの積算計がそれぞれ別系統のトルク伝達経路を経て動作しています。その結果、一瞬にたくさんトルクを使わず、常に一定のトルクを使うことで安定した精度を保つことを可能にしました。RM 72-01の秒積算用のスイングピニオンの片方は常に4番車(秒針)に繋がっています。クロノグラフをスタートするプッシュボタンを押すと、コラムホイールが回転しスイングピニオンを動作するレバーが動くことで、スイングピニオンが傾き、クロノグラフの秒積算車に接続されます。この動作によって4番車から駆動を得て秒積算車が動きだします。分積算についても仕組みは同様です。分積算用のスイングピニオンは歯車を介して香箱に繋がっています。クロノグラフをスタートすると分積算車のストッパーが解放され分積算車が動きだします。実物を見る前は秒積算車用と分積算車用の2つのスイングピニオンはスタートボタンを押したときに歯車とピニオンが接続され動力を伝え、ストップしているときに歯車とピニオンの接触はないと考えていました。じっくり観察してみると分積算用のスイングピニオンは秒積算車用のスイングピニオンの動作とは異なり、常にピニオンと分積算車は接触していました。先に記述したとおり、クロノグラフをスタートすると分積算車のストッパーが解放され分積算車が動きだします。分積算車用のスイングピニオンはクロノグラフをリセットするときに接続が解かれ、一瞬で高速回転する歯車の歯先の破損を防ぐために動作します。そして、ダブルスイングピニオンを採用することで、ムーブメントの薄型化も実現しています。デザインだけではなく、クロノグラフの積算方法にまで徹底的にこだわったムーブメントの部品数は425個にも及びますが、厚さはわずか6.05㎜です。20年間にリシャール・ミルが蓄積したノウハウが詰まった時計ですね。

文/竹中茂喜(たけなか・しげき)
時計修理技能士1級を持つリシャールミルジャパン テクニカルマイスター。年に数回スイス、レ・ブルルーにある工房でトレーニングを受けリシャール・ミルを熟知するひとり。

「RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ」

自動巻き(自社製キャリバーCRMC1)、時・分・スモールセコンド表示、日付表示、スイングピニオン式フライバッククロノグラフ(特許取得済み機構)、ファンクションインジケーター、ストップセコンド、パーリザーブ約50時間、ブラックTZPセラミックス×5Nレッドゴールドケースまたは、ホワイトATZセラミックス×5Nレッドゴールドケース、ケースサイズ:47.34×38.40×11.68mm、50m防水、可変慣性モーメントローター、ラバーストラップ、¥36,300,000(税込)

問い合わせ先:リシャールミルジャパン
TEL.03-5511-1555
https://www.richardmille.com/ja