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世界一級のスーパースポーツしか辿り着けない領域。7分29秒90。

ミッドシップMRパッケージに生まれ変わった新型コルベットC8

1954年の初代登場から数えて66年。
スポーツカーとしては最も長い歴史を紡ぎ続けてきたのがシボレーコルベットだ。
長いいノーズにOHVのV8エンジンを収めた2シーターFRのパッケージは、長らくその象徴とされてきた。
そのコルベットがC8=8代目にして、史上最もドラスティックなフルモデルチェンジを受けた。
激変ぶりはなによりスタイリングが物語っている。エンジンはシートの後ろに搭載され、キャビンは大胆に前方に移動。
すなわちフェラーリやランボルギーニのような、いわゆるスーパーカーグループの常套であるミッドシップ、MRパッケージを採用したわけだ。
理由は何もそれらに噛みつこうという話ではなく、極めてロジカルな話だ。
とりわけ00年代以降、コルベットの性能進化やマーケティングにおいて、モータースポーツは切っても切れない関係となっているわけだが、その現場において従来のFRパッケージはこれ以上の伸びしろが望めないというところにきていたという。
加えて市販モデルの側でも、C7=7代目の最強バージョンだったZR1では755hpものパワーを後輪に押さえつけるために物騒なウイングを背負わざるを得なかった。
もうFRでの挑戦はやり尽くしたと、開発を担当したエンジニアの顔はむしろ晴れ晴れとしている。
コルベットはその長い歴史の中で、幾度もミッドシップ化が検討されてきた経緯があるのも、彼らの背中を大きく押した一因だろう。

それでも、シートの背後に収まるエンジンはアメリカ車の大定番であるスモールブロック、つまりOHVのV8エンジンだ。枯れ果てたエンジニアリングにみえるかもしれないが、小さく低重心であることにかけてはDOHCを相手にしない。C8ではその伝統のユニットをドライサンプ化して極限まで低く搭載している。そのミニマル感たるや、ガラスのリアフード越しからはにわかにエンジンの全容が望めないほどだ。

ミッドシップとしたことで大きく向上した駆動効率

6.2lの排気量で495hp&637Nmのパワーを発揮するこのエンジンに組み合わせられるミッションは、GMがコルベット用に開発した8速DCTとなる。動力性能を示す数値として発表されているのは、0〜60マイル加速が2.9秒、最高速は約312km/hというもの。これは650hpのスーパーチャージドエンジンを搭載するC7のZ06に限りなく近い。言い換えればC8は体躯をミッドシップとし、8速DCTを採用することで、650hp相当の駆動効率を495hpで得たということだ。

一見トリッキーに見える内装と快適性を手に入れたコックピット

骨格は一部構造材にマグネシウムやカーボンを用いたアルミスペースフレームで、サスペンションは前後Wウイッシュボーンを採用。
従来はリーフスプリングを横掛けする特殊な構造で重心を下げていたが、C8では一般的なコイルスプリングとなり、アフターマーケットの開発、参入がしやすくなっている。
V8エンジンの小ささも相まって、トランクルームは前だけでなく後ろにも設けられており、合わせての容量は約357lと相当量が確保された。
但し前後共に形状は素直な四角というわけにはいかないので、積むカバンの形や荷物の耐熱性などは積む側がきちんと考える必要がある。
形状的にはややビジー、そして配置的にはトリッキーにみえる内装デザインは、収まってしまえばそれほど違和感を覚えることはなかった。
何より低くなったカウルと前進したキャビンによって前方の見通しが抜群に良くなったことが、取り回しやすさやライントレースに大きな変化をもたらしている。
独特なスクエアシェイプのステアリングは直進時に高精細HUDの画面を隠さずみせてくれることにも貢献しており、運転中にメーターパネルの側をみることは殆どない。
センターコンソールの稜線に沿ってずらりと並べられた空調のコントロールボタンは見た目やりすぎの感もあるが、上が運転席、下が助手席と区分が明快なこともあり、慣れに時間は要さなかった。
ダウンスピードでのC8は、これまでのコルベットとは大きく印象を違える快適性を手に入れている。乗り心地面では第四世代の電子制御可変ダンパー、マグネティックライド4.0の受容性が高いこともあり、ランフラットの大径タイヤが拾う路面の凹凸も巧く受け止め乗員に不快な突き上げなどは極力伝えないように均してくれる。
タイヤのノイズや風切りの類もしっかり整理されており、下回りからの石跳ね音なども小さく・・と、乗り心地の洗練度はポルシェ911にも比するところと言っても過言ではない。

バーゲンプライスと言っていい

今までとはまったく異なる場所から聞こえてくるエンジンのサウンドは、いかにもコルベットというかアメリカンV8らしいというか、低中音域の主張が強いザラ味のあるものだ。
同じV8でもイタリア系のそれとは違ってスコーンと抜けるような高音の鳴きはないが、逆に地の底から沸き上がるような力強さに満ちている。
但し、その爆発力が路面に伝わるサマは遥かに緻密で繊細だ。
余りに重心が低くトラクションの掛かりも良いこともあり、コーナーでも駆動輪側はどっかりと落ち着き払っていて、最初はパワー不足の錯覚さえ覚えるほどだった。
そこからじわじわとアクセルを踏み増していけば徹底的に粘った挙げ句にズルッとテールが滑り出すが、その際の所作もミッドシップとしては落ち着いたものでドライバーを対処に焦らせない。定常的な旋回では1.3の横Gが掛かる状況をメーターで確認したが、そこでも電子制御に頼らず自らのグリップ力でしっかり安定して回っていくサマをみるに、この性能が得たかったのかというエンジニアたちの想いがひしひしと伝わってくる。
ちなみにC8のニュルブルクリング北コースのラップタイムは7分29秒90が記録されたという。言わずもがな、世界でも一線級のスーパースポーツしか辿り着けない領域が、新しいコルベットのスタートラインだ。66年の時を経て、このクルマの進化は留まるどころか全く新しいフェーズに入ったということになる。

文・渡辺敏史、写真・ゼネラルモーター

【シボレーコルベット Ⅽ8 ミッドシップ】
全長4630×全幅1934×全高1234mm/ホイールベース:2722mm/車両重量:1530kg/エンジン:V型8気筒/OHV(LT2)/総排気量:6153㏄/最高出力:369kW(495hp)・6450rpm/最大トルク:637Nm・5150rpm/
トランスミッション:8速DCT/駆動方式:MR/キャリパー:前後4ピストン(Eブースト アシスト付き)/タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR19(8.5J) 後305/30ZR20(11J)
日本における価格は1180万〜1400万円の予定。
2020年7月に日本で発表、デリバリーは2021年春以降の予定。

 

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