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モードな4座フェラーリ「ローマ」

la nuova Dolce Vita
このまったく新しいフェラーリ「ローマ」について彼らが掲げるコンセプトだ。
ドルチェ・ヴィータは第二次大戦から復興を遂げるイタリアの上流階級の奔放で退廃的な生活を描いた映画だ。フェデリコ・フェリーニの代表作として広く知られている。フェリーニの甘い生活は放蕩の限りを尽くした果てにある人間の虚無を描いたものだった。が、フェラーリが描くヌオーバ、つまり「新しい」甘い生活は、その機微を知り、知的なハイライフを指向するユーザーに向けて、新たなフェラーリとの向き合い方を体験していただこうという思惑がある。その意向を最も明快に表しているのはエクステリアだ。フェラーリがレーシングフィールドで培ったエンジニアリングを基に、イタリアの架装工房で仕立てた流麗な内外装を組み合わせて特別なストリートモデルに仕立て始めたのが50年代からの話。250ヨーロッパや250GTルッソなど、その時代に生まれ、一世を風靡したラグジュアリーGTたちのエッセンスを現代的に昇華させたのがローマのスタイリングだという。フェラーリといえばリアミッドシップにエンジンを積むモデルを真っ先に想像しがちだが、ローマはフロントエンジン・リアドライブの伝統的なレイアウトを採用している。なるほど、レーシィというよりはエレガンスの方が圧倒的に前に出された佇まいだと思う。

ローマがなぜエレガントなのか。それは過去の名車のエッセンスを現代的に昇華させたからだけではない。現在のスポーツカーのスピードレンジでは必ず織り込まなければならないエアロダイナミクスを剥き出しにせず、見えないところに丁寧にしまい込んでいるからだ。たとえば高速域での車体の動きを安定化させるダウンフォースは、床下の形状やエアフローマネジメント、そしてリアウインドウ端に隠された電動スポイラーによって緻密にコントロールされる。スポイラーは速度やドライブ状態からクルマの側が必要性を判定し自動的に引き起こされるため、シティユース程度では戦意を伺わせることもない。フェラーリ流のアンダーステートメントはそういうところにも活きている。
とはいえ、ローマはスポーティネスを二の次にしているわけでもない。搭載するエンジンはミッドシップモデルとも設計を共有する3.9lV8ツインターボだ。620psのピークパワーを発するそのユニットに、最新のフラッグシップモデルであるSF90ストラダーレに採用された8速DCTを組み合わせ、0〜100km/hは3.4秒、最高速は320km/hと充分にスーパーカー的な領域に入っている。

ローマは2+2シーターのパッケージを採るも、基本は大人2人のためのクルマで、リアシートは子供が座るのもままならないほど狭い。それでも敢えて2シーターとしなかったことにある種の余裕がみてとれる。ちなみにISOフィクスアンカーは備わっており、チャイルドシートは簡単に固定することは可能だ。その辺りからも今までと異なるフェラーリを目指していることが伝わるだろう。この小さな後席スペースに加えて、独立したトランクの容量は272lを確保。ローマはロングトリップにも十分対応できるGT的な適性を備えたクルマであることがわかる。

SF90ストラダーレの登場を機に構築された全く新しいデジタルインフォテインメントを採用、座っても新時代のフェラーリであることがひしひしと伝わってくるローマのドライブフィールでまず驚かされるのは、今までのフェラーリとは一線を画する快適性だ。乗り心地そのものは最新のF8トリブートもスーパースポーツとは思えないほど洗練されているが、ローマはそれよりも更に路面アタリが優しく突き上げの伝わりも丸い。
加えてタイヤ周りから発せられるロードノイズや風切り音など、室内への透過音の量や質も整えられており、走っての耳からの疲れも抑えられている。エンジンルームからの遮音やエキゾーストの音量も適切で、高速巡航では心地よく音楽を楽しむ余裕もあるくらいだ。ちなみにローマにはソナーやカメラなどのパークアシストセンサーはもちろん、前車追従型クルーズコントロールもオプションで用意される。車幅が気にならなければ女性でも楽にドライブ出来るだろう。

その一方で、ローマはFRスポーツカーとしても第一線に立つ運動性能を備えてもいる。ハンドリングの鋭さは812スーパーファストと相通じるところもあるが、エンジンのマスが小さい分、操縦性はローマの方が俄然軽快だ。エンジンそのものが放つ荘厳さはさすがに12気筒には及ばずとも、相当なハンドリングカーに躾けられていながらGTらしさもまったく損なわれていないという器用さにローマの新しさがみて取れる。
大量ではなくていい。大切ないいものに囲まれた生活こそが新しい豊かさだとすれば、その価値観にサラッと溶け込めるある種のシンプルさをローマは備えている。いま、最も時代の空気を捉えたフェラーリであることは間違いなさそうだ。

文/試乗⚪️渡辺敏史

「フェラーリ ローマ」
エンジン|3.9リッター V型8気筒ターボ
ボディサイズ|全長 4,656 × 全幅 1,974 × 全高 1,301 mm
ホイールベース|2,670 mm
車両重量|1,472 kg(乾燥)
最高出力|456 kW(620 ps)/ 5750~7500rpm
最大トルク|760 Nm / 3000~5750rpm
トランスミッション|8段DCT
最高速度|320 km/h
0-100km/h加速|3.4秒
0-200km/h加速|9.3秒
タイヤ|(フロント)245/35 ZR20、(リア)|285/35 ZR20
価格:2682万円(日本)

フェラーリ
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/car-range

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