ランボルギーニ・ウラカン EVOは、ペルフォマンテに近付いた!

ランボルギーニの世界販売台数は18年が5750台。
これは対前年比で実に51%増という強烈な数字だ。
言うまでもなく、同社初のSUVであるウルスの実績は大きいわけだが、
そのデリバリーが始まったのは7月と都合半年分の数字でしかない。
裏読みすればそれだけスポーツカーラインも好調ということで、
特に屋台骨を支えるウラカンの販売台数は対前年比で5%増の2642台、全体の約半分弱に及んでいる。


好調を保つそのウラカンがこの春、マイナーチェンジを受け、ウラカンEVOとして上陸する。
直球かつ主張の強いその名に込められたのは、従来のマイナーチェンジとは
一線を画する進化の飛躍度を示したいという思いだろうか。


進化の幅を最もわかりやすく示すのは前型比で30psプラスの640psとなった5.2リッターV10エンジンだろう。
これは最強のウラカンとして昨年設定されたグレード、ペルフォルマンテと同じスペックとなる。
肝心なのはこのパワーを自然吸気、平たくいえばノンターボで発していることで、
これがライバルに対するウラカンの個性となっていることに疑いはない。
そのチューニングレベルはリッター辺り123ps以上と世界最高レベルで、
8500rpmのレッドゾーン近辺までとにかく鋭利な回転フィールを伴って瞬時に吹け上がる。
ターボ化を伴う排気量のダウンサイジングが全盛の中、絶滅が危惧される官能的なエンジンであることは確かだ。


このハイパワーを徹底的に路面に伝え抜くために、ペルフォルマンテでは空力特性の理想化を徹底的に追求した。
ウラカンEVOはそこで導かれた床下周りのエフェクトをスタイリングの中に巧みに織り込み、
外観上、固定翼などの過激な演出はなされなくも前型比で約7倍のダウンフォースを得ることに成功している。


加えてウラカンEVOには新たにLDVIというテクノロジーが搭載されている。
ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータというイタリア語の略であるこれは、
最新のセンシングテクノロジーで得られる各種車両状態情報をもとに、ドライバーの運転意志を20mm秒単位で先読みし、
ボディコントロールを予測制御するというもの。
たとえばパワーオンでのオーバーステアを望んでいるという兆候が操舵量やペダル操作の速度などから読み取れれば、
車両挙動を最適化するように4WDの駆動配分や新たに設定された4WSのリアステア角、
ブレーキベクタリングといった制御のパラメータを先んじてその方向に仕向けていくという仕組みだ。


エクステリアは冷却の効率かも兼ねて空気の流れを幾重にも分岐させる前部の形状変更よりむしろ、
ハイマウントエキゾーストによって床下の整流効果を高めた後部の側に大きく変化がみて取れる。
全体的に勇ましさが強くなった感は拭えないが、
敢えて内外装に落ち着いた色味を選ぶことで棘を丸めてみせるなどの技が活きるようにもなったといえるだろう。


ちなみに内装トリム材にはカーボンテクノロジーで他社をリードするランボルギーニが独自に開発した、
カーボンファイバーの風合いを活かしつつレザーよりも65%の軽量化を果たしたという
「カーボンスキン」の選択も可能となっている。また、内装の機能面においてはセンターコンソールに縦型に配される
8.4インチのマルチタッチスクリーンシステムが採用され、各種設定項目やインフォテインメントの多様化に、
意匠的な整然さをもって対応している。
ウラカンEVOには先代と同様、ANIMAと呼ばれる3つのドライブモードが用意されるが、
中でも最も平穏で多用途的なストラーダモードを使っている限り、その走りは実に滑らかだ。
余程パフォーマンスにフォーカスして欲しかったのだろう、今回の試乗はサーキットに限られたが、
取り付け路などを使ってその乗り心地や静粛性のようなところに注目しても、
このクラスの水準点には充分達していそうにみえる。
サーキットではスポーツとコルサの2つのモードを中心に試すこととなったが、
LDVIの真価が発揮されるのはスポーツの側だ。敢えて後輪側のスリップを積極的に旋回の側へと用いつつ、
スピンモードには至らせないようギリギリのさじ加減でESCを介入させるなど、
つまりはマシンの掌の中にありながらも、
そうとは思わせないクルマを御する楽しみをしっかりとドライバーに味わわせてくれる。
ただ単にテールスライドを誘発するモードかといえばそんな単純なものではなく、
四駆のおかげもあってしっかりスピードを伴ったクイックなコーナリングが可能だ。
そして最もハードコアなモードとなるコルサではむしろリアのスタビリティもガチガチに高まり、
素早く曲げるにはコンマ1秒を削り取るプロ的なスキルが要求される。
一般的なドライバーであればかえってスポーツの側がタイムも伴ってしまうかもしれない・・と、
それほど高度な制御が出来てしまっているのがLDVIの凄さだろう。
ウラカンEVOの日本での価格は税抜きで2984万3274円。随分と細かな数字だが、
ざっくりいえば先代の標準車とペルフォルマンテのちょうど中間くらい・・という絶妙な琴線のくすぐり方だ。
が、このクルマは今旬を競う流行り物的な存在ではない。
絶滅危惧種の大排気量&マルチシリンダーな高回転型NAエンジンをきっちりと活かし切るために最新技術が注がれた
珠玉の存在とあらば、その価格にも十分納得がいくことだろう。

渡辺敏史・文

 

ランボルギーニ
https://www.lamborghini.com/jp-en

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